
望遠鏡の製作に取り組む学生らと松浦周二教授(右)(撮影=新貝卓丸)
【9・10月号掲載】初期宇宙の解明目指す 理工学部 松浦研究室
銀河やブラックホールなどの天体の起源が解明されるかもしれない。理工学部物理学科の松浦周二教授(赤外線天文学)の研究室は誕生して間もない原始の宇宙、いわゆる「初期宇宙」の解明を目指している。
宇宙で最初にできたとされる天体は地球から遠く離れているため観測が困難。松浦教授は初期宇宙の天体が放つ「宇宙赤外線背景放射」という電磁波の波長を観測し、初期宇宙の研究を進める。4月には未知の宇宙背景放射成分の存在を明らかにするなど成果を上げている。
松浦教授の研究室では、観測に使う望遠鏡を自ら作っている。現在は、より正確な数値を測定するための望遠鏡をカリフォルニア工科大などと共同で製作中。軽くて壊れにくいアルミニウム製で、従来のものに比べて10倍の感度を持つ。研究室の学生らは望遠鏡の光学測定や耐振動実験をする。松浦教授は「学生たちも含めて、チームで解明したい」と話す。
来年の夏に、米航空宇宙局(NASA)のロケットに望遠鏡を搭載。4月に観測した宇宙背景放射が初期宇宙に起源を持つかを検証し、初期宇宙の解明を狙う。松浦教授は「次の実験で到達できれば」と意欲を見せた。