【7月号掲載】コラム 心月記
今年も暑い夏がやってきた。大学にたどり着くまでの坂道がよりいっそう恨めしく感じられる。坂道に差し掛かるとふと思い出す言葉がある。「人生には三つの坂がある。一つ目は上り坂。二つ目は下り坂。そして三つ目はまさか」▼特に人生は「まさか」の連続ではないか。大学で中学までの同級生と再会できたこと。小学校から大学まで父親と全く同じ学歴になったこと。そして私がこのコラムを書いているのも、ある人との「まさか」の出会いがきっかけだ▼一つ一つの物事や出会いがどこでどうつながるのかは分からない。だからこそ人生は興味深いのだろう。自分のことに精いっぱいだと視野が狭くなってしまう。偶然のつながりを見落とすのは非常にもったいない▼大学生活に慣れてきて、自由の多い生活の魅力が分かってきた。人生の中でも時間にゆとりがあり、自分次第でいくらでも充実させることができる時期。卒業後、社会人として新たに始まる長い坂を上るための準備を私はしているのだろう▼焦る必要はない。人間だから常に全力で上り坂を歩くのは疲れるし、体が持たないだろう。上り坂があればその先には下り坂もある。自分の思い通りに歩けない「まさか」だってあるはずだ。大事なことは自分がどんな状況であれ、上を向いて歩くことだと思う。前向きな姿勢であり続けることが道を開くのではないか。