【1月号掲載】コラム

 毎年、年末が近づいてくると「今年もあっという間だった」と感じる。きっと同じ気持ちになる人も少なくないだろう。1年は時間に換算すると8700時間以上になる。膨大な時間を短く感じてしまうのはなぜだろう▼1年を振り返ってみると、何もなかったわけではない。思い返せば、さまざまな出来事が脳裏に浮かぶ。ところが、どの出来事も自分の中で画一化された物に感じてしまう。同じような日常を過ごすうちに気付けば1年がたとうとしているのではないか▼時間割通りに起床し、学校に行く。アルバイトで決められた時間に働く。そして特に目立った出来事はなく、気が付けば夜になり1日が終わる。何も間違ったことはしていない。ただ、ルーティン化した生活は「大学生活」という自由な枠組みの中で考えるともったいない▼19世紀フランスの哲学者ジャネーは「主観的に記憶される年月の長さは年長者の方が短い」と述べている。確かに子どもの頃は毎日が発見の連続だった。しかし、歳を重ねるにつれて人生経験も豊富になり、新鮮味のある出来事は少なくなっていく▼昨年20歳となり、2017年は「大人」として迎える初めての年。今まで通り、1年の早さを嘆いてばかりいると、知らないうちに大学を卒業している気がしてならない▼今年は「子ども」のような好奇心を持ち、現状の生活を打破できるような多くのことを経験し、吸収したい。そして、「今年は長い1年だった」と言えればと思う。