【11・12月号掲載】コラム 心月記
冬の代名詞といえば私は真っ先にこたつが思い浮かぶ。単に寒さをしのぐ道具ではなく、人との関係を深める場所でもあると思う。こたつでは善くも悪くも何か出来事が起こる▼私は寮に住んでいるが、夏場の寮のロビーは誰もおらず閑散としていた。しかし、こたつが出てきてからは自然と人が集まりにぎわうようになった。そこで実は趣味が同じ人がいたり、寮生の意外な裏話が聞けたりと新たな発見があって楽しい▼だがこたつの居心地の良さを甘受しすぎると、たまに痛い目を見る。テスト前に徹夜で勉強しようと、こたつに入ったことはないだろうか。少しの間、目を閉じようと思ったはずが、いつの間にか外が明るい。この時ほど、自分の弱さとこたつの居心地の良さを恨むことはない。こたつは人を駄目にするというが全くその通りだ。私はこれによって何回もテストで悪い点を取った記憶がある▼家族とのささいなやりとりも、こたつならではのことだ。いったんこたつに入ってしまうと動くことが面倒になり、なかなか外に出ることができない。それは他の人も同じ。テレビを見るベストポジションから順番に埋まり、その場から動かない。すると後から来た人と、足の置き場の陣取り合戦が始まるのだが、顔はテレビに集中したままだ。表向きは何も起きていないが、裏では戦いが起きているのが面白い▼こたつがあるだけで小さなことだが何か必ず起こる。今年の冬はどんなことが起きるのだろうか。