ワニワニパニックを知っているだろうか。ゲームセンターによくある洞窟から出てきたワニをたたくハンマーゲームだ。ゲームで遊びながら女の世界はワニワニパニックに似ていると気付いた。女の世界は怖い。開始前にハンマーを持った友達は笑顔で腕を鳴らしながらこう言った。「最近彼氏に荷物持ってもらってるからハンマーとかこんな重たいものを持つの久しぶり」と▼8年。私が女子校に通った年数で、これからも大学卒業まで増え続ける数字だ。評論家気取りで言わせてもらうと、女子校の女子の話は大体中学生で好きなキャラクターやアイドル。高校生で部活動や下校途中で見つけた遊び場。そして大学生になってからは自分の持ち物や異性の話で自分の価値を推し量るようになった▼まるでワニワニパニックだ。友達が打つ側で私がワニ側。いくら何を言ったってワニは大きな存在に圧倒され、地層のように覆い尽くされてしまう。あの人はブランドのバックを持ってるからすごいとか、どういう彼氏と付き合ってるから凄いとかの基準は人それぞれだ。自分の尺で相手を推し量るのはよくない。自慢の先にあるものは何か▼ワニワニパニックは途中からワニが「もう怒ったぞ」と反撃をする。私はマウンティングに参加する気は毛頭ないが、交わすような反撃をしてみる。「筋力落ちますよ」と。 【川村嶺実】