「大学」というゴールを目指し、がむしゃらに勉強していた。合格通知を手にした時、やっと思い焦がれていたゴールにたどり着くのだと思った。しかし近づいてみて分かった。これはゴールではなく「門」だ。
大きな目標があると、目標を達成することがゴールだと錯覚してしまう。しかし人生にゴールなどなく、要所要所に通過点として門が立つだけ。目の前にある門をくぐっても、行く先にはまた新たな門が存在する。
大学という門をくぐった先は自由だった。勉強や部活動に打ち込む、留学に行く、長期インターンに参加する——大学生には多くの選択肢がある。選択肢が多い分、次の門はどこにあるのか見えづらい。何をするか悩んだ末、私は新聞部に入部した。
アメフト部や学生劇団、研究者など、さまざまな人を取材した。大学という門をくぐってきたのは皆一緒なのに、向かう方向はそれぞれ全く違う。試合での勝利、公演の成功、研究成果の発表——私の人生では見たことのなかった多くの門を見せてもらった。そしてそこに向かって突き進む様子を、新聞を通し他の学生に伝えることが私の通り抜けてきた門だったのだろう。
私の人生にはあといくつ門がそびえたっているだろう。行く先に見えている門が気に食わなかったら違う門を探してもいいし、1回でくぐり抜けられなかったらまた挑戦すればいい。新入生にも、徐々にそれぞれの行き先が見えてくるはずだ。【下島奈菜恵】