近年大きな盛り上がりを見せる陸上男子100メートル。群雄割拠の中に今年、坂井隆一郎(人健・4年)が10秒12を出し名乗りを上げた。

昨シーズンは肉離れを起こしてしまい、思うように練習を積めず、結果の出ない時期が続いた。「今までで一番辛かった」と当時を振り返る。
大躍進の主な要因はスタートの改善にある。外部コーチの指導を基に、今までよりスタート時の重心を高くすることで持ち味のスタートダッシュが生かせるようになった。すると関西インカレ予選で自己ベストを更新し、優勝。そして日本学生個人選手権の準決勝で10秒12(追い風1・0メートル)を叩き出した。決勝でもU20世界選手権8位入賞の宮本大輔(東洋大・2年)に競り勝って初めて全国タイトルを手にした。
全日本選手権では名だたる選手たちと並んで決勝の舞台を走り6位入賞を果たした。「これまで手の届かないところだった世界が確実に手の届くところに来ていると感じた」と手応えをつかんだようだ。
来年4月からは実業団に進むが、東京オリンピックまでは練習環境を変えず、関大を拠点に練習を続けるという。今後の目標はもちろん「9秒台を出して東京オリンピックに出場すること」だ。関大卒のスプリンターがオリンピックイヤーをどう駆け抜けるのか、今後も目が離せない。 【東上直史】