【6・7月号】社会にプラスの経済効果を 宮本勝浩名誉教授

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 「ネコノミクス」と呼ばれる猫ブームの経済効果は2兆316億円——。関西大大学院の宮本勝浩名誉教授(71)が算出したデータだ。これまで、あべのハルカスの完成や大阪マラソンの開催、アイドルグループAKB48の選抜総選挙など、いくつもの社会現象やイベントの経済効果を試算してきた。近年では、メディア出演やニュースでも取り上げられる有名な教授だ。

 普段は理論経済学を専門に研究している宮本教授。地域の活性化を目的に、経済効果を算出する。活動はメディアや地方自治体からの依頼だけでなく、自分が単純にやりたいという理由で取り組んでいるという。「(経済効果の計算は)趣味で始めた。気がついたら、メディアからの取材がたくさん来ていた」と笑う。

 「経済効果」とは「ある出来事が起きた際にどのくらいお金が動いていたか」を計算した数値。コンサートを例に挙げると、入場チケットやファンの交通費、CDやグッズの売り上げによる「直接効果」や、ファンが利用した飲食店で使用される原材料の売り上げといった「一次波及効果」。そして飲食費や会場で働く人の賃金が上がるといった「二次波及効果」。3つの効果を「産業連関表」という統計表をもとに計算した数字が「経済効果」になる。

 初めて経済効果の計算に取り組んだのは2003年の阪神タイガース優勝。当時、大阪府立大に教員として勤めていた宮本教授は「教室で数学の授業をやるよりも、具体的なものを計算した方が面白い」と思い立ち、学生とともに阪神百貨店梅田本店(大阪市北区)へ出向いた。買い物客にアンケートを取るなど緻密な調査を行い、阪神タイガース優勝に伴う1481億3000万円の経済効果を算出。「データに基づいて、ちゃんと計算していること。そして、実際に事態が起きた後の実証をしっかりと行うことが、経済効果の算出にあたって必要なこと」と語る。

 さまざまな社会現象による経済効果について取り組んでいるが、不祥事による経済効果の依頼は断っている。「みんなが見て楽しくなれるようなものをやってきた。有名人やタレントが悪いことした時の損失は絶対に計算しない」とポリシーを話す。毎年平均10から15の経済効果を計算している宮本教授。今後も「知った人が楽しめて元気が出るような出来事の経済効果」を出すため日々研究に励む。

宮本教授

宮本勝浩教授(提供=関西大広報課)

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