【11・12月号】三叉路

 「何年ふるさと背を向ける」。青森県出身の演歌歌手、吉幾三さんは新曲「TSUGARU」で故郷を出て行った若者にメッセージを送っている。鮮烈な歌詞に自分を顧みた人もいるのではないか▼総務省と文部科学省のデータによると、2010年〜17年にかけて東京圏への転入の大部分を15歳〜29歳の若者が占めている▼10代〜20代の若者を対象にした調査からは、進学や就職が東京への移動の最たる理由だと分かる。福井県出身の私は今年の春から、神戸女学院大に通っているが、第一志望は東京の大学だった。東京へ行けば出版関係の仕事に就きやすいと想像していたからだ。神女院大に入学してからも故郷での就職は考えていなかった▼先日、久しぶりに故郷に帰った。不便で刺激がないと思っていた場所が、穏やかで心地よい場所だと感じた。人と人との距離が近く、人情味にあふれている。今更ながら故郷の良さに気付いた▼長い間同じところで生活をしていると恩恵も当たり前になってしまいがち。当たり前と思わずに、故郷の良さを再認識することが必要ではないか▼私は現在、故郷での就職も視野に入れて仕事を探している。都市部に比べると出版社は少ないが、故郷でもさまざまな形で出版に関わることはできるはず。故郷で希望する仕事に就けるよう、今のうちから幅広い知識を身に付けたい▼「TSUGARU」を聞きながら、故郷を敬愛する気持ちを持ち続けることが大切だと改めて思った。【福住麻友】