【9・10月号】通学マナーの問題点と改善策

 学生の通学マナーに関する苦情が地域住民から寄せられている。学生、地域住民、警備員の声をそれぞれ取材し、学生の通学環境や通学マナーを取り巻く現状を考えた。【泉田菜花・川村仁乃・小松霞・福住麻友】

自分の通学マナー 9割が良いと回答

 本学の学生を対象に8月23日〜9月10日にアンケートを実施し、72人から回答を得た。自分の通学マナーは「良い」「だいたい良い」と答えた人が9割を超えたが、女学院生のマナーは「あまり良くない」「悪い」が4割超となった。

 通学中に「危ない」や「迷惑」と思った経験はあるかという質問に55・6%が「はい」と答えた。中でも複数の人が車や自転車と接触しそうになったことがあるという。地域住民やベビーカーと衝突しそうになるのを見かけたという回答もあった。

 通学方法は7割以上が「電車と徒歩」と答えたが、門戸厄神駅から正門までは道幅が狭い。3列以上で歩いていると車道にはみ出してしまう。特に広がって歩くだけでなく、信号のない横断歩道で車を気にせずゆっくり渡っているのは迷惑だという声が上がった。

■友達同士で 互いに声掛け

 自分の通学マナーについては「できるだけ端に寄って歩くようにしている」という回答が目立った。一方で女学院生全体のマナーでは、友達同士で横に広がって歩いているのを見かけるという回答が最も多い。友達と一緒に歩いているとき、話に夢中になって周りに注意がいかないことがあるかという質問では「よくある」「たまにある」と答えた人が半数近くを占める。一人では気をつけているが、友達と一緒だと広がって歩いてしまうことがあるという環境・バイオサイエンス学科4年の学生もいた。

 友達と話が盛り上がっているのか、警備員の注意を聞き入れない人がいたと苦言を呈す声がある。心理・行動科学科の水本誠一准教授(地域健康学)は「警備員の注意だけに頼らず、友達同士で声を掛け合うことが大事だ」と指摘する。

 近隣住民から苦情が寄せられているのを知っていると答えた人は94%に達したが、マナーが改善したとは言えないのが現状だ。

学生の通学態度は「傍若無人」 地域住民の声さまざま

 通行量の多い朝と夕方、「切れ間なく歩く学生を前に立ち止まるしかない」「声量を抑えてほしい」「車が出せずに遠回りしなければいけない」「転んだ人を見た」。マナーが悪いと学生に対し改善を求める声が上がる。通学路で道行く人に声を掛けたり、自治会の集会に行ったりし、地域住民に直接取材した。

 「傍若無人だ」。学生の通学態度はその一言に尽きるというのは、大学近くに住む高齢男性。車が来ようと何が来ようと避けるそぶりを見せず、まさに傍若無人。男性の目に学生の歩く様子は、危険極まりない行為として映っている。

 通学路は車や自転車も多く通る。学生が地域住民に迷惑を掛けたり危険を及ぼしたりするだけでなく、学生自身も危険にさらされている。

 安全を守るための警備員の指示やあいさつの無視は目に余り、大学生としての自覚が問われている。

■寛容な声も

 「道幅が狭い上に一度に多数の学生が通るので仕方がない」と寛容な声もある。また「マナーは良い」「気にならない」という人もいた。混雑する朝と夕方以外の時間帯では、マナーの悪さを問題視する意見はなかった。「学生の声を聞くと明るくなれる」「きれいな服装の学生を見るのは良い」といった前向きな声もあった。

■改善すべきことは改善を

 通学マナーの改善には、道の増幅や歩行者専用の時間帯を設けるといった社会的な方策もあるが、駅に通じる重要な道であるため道路環境を変えるのは難しい。学生に違う道を通れというのも強引に感じる。水本准教授は「やはり人数が多く一定の時間に集中する学生側が配慮をすべき」と考えを示す。学生は改善できるものは改善する必要がある。

 周りに気を配って通学することは言うまでもない。自分自身の安全を守り、周りに迷惑を掛けないためだ。数人で話しながら歩く場合や、一人であっても音楽を聴きながら歩くときは特に注意が必要になる。相手が譲ってくれると思わずに、対向者や車、自転車に自分から道を譲ることを心掛けたい。

解決の糸口は「愛嬌」 あいさつや会釈が鍵

 「互いに知らない土地の人ではなく身近な存在だと感じることで、通学マナーも改善されるのではないか」と考える地域住民がいる。例えば、住民とすれ違い時にあいさつや会釈をするだけで印象は大きく違う。多少迷惑を被ったとしても「愛嬌(あいきょう)」を感じ、許そうという気持ちになる人が多い。あいさつや会釈といったささいなコミュニケーションが、学生の通学マナーに対する地域住民の不満を軽減する糸口になるのではないか。

■イヤホンはマナー違反か

 イヤホンをすることで周囲の音が遮断され自分の世界に入り込み、周りに注意がいかなくなることが問題になっている。実際に車が後ろから近づいても気付かない学生や、警備員の指示が聞こえていない学生がいる。地域住民や警備員は、イヤホンをしながら歩くことの危険性を懸念する。

 一方学生のアンケートでは約65%の学生が、イヤホンをしながら歩くことは「マナーが悪いと思わない」と回答。歩くときにイヤホンを「よくする」「たまにする」学生は合わせて約64%いた。

 片耳にだけ付けたり音量を下げたりすることで問題は改善できる。少しの工夫で、自分の身の安全と周囲への配慮につながる。

互いに歩み寄りが必要 水本誠一准教授

 通学マナーの改善について「地域住民と学生、互いに歩み寄ることが大事」と主張する。立場の異なる両者が互いに歩み寄ることが地域福祉の原則だという。

 地域住民からは「人数が多いと仕方がない」と学生を擁護する声や、「神戸女学院の学生だから多少マナーが悪くても許せる」といった温かい声があった。学生側も改善するべきことをしっかりと実行することで歩み寄らなければいけない。相手の立場を尊重し合うことで、誰もが過ごしやすい健全な地域社会を保つことにつながる。

 本学では「地域創りリーダー養成プログラム」やアッセンブリアワーの公開プログラムを筆頭に、地域住民と良好な関係を築いている。評価の高い活動を改めて広報し、地域住民に知ってもらうことでより身近な存在に感じてもらうことも大切な歩み寄りだ。

警備員の声

■特に注意する時間帯は

1限目と2限目が始まる前の約20分間と、帰りの午後4時半〜午後5時の間。帰りは学校が終わって、気が緩んでいると思う。

■警備をしていて感じることは

スマートフォンを触ったりイヤホンをしたりしながら歩いている学生が、車や自転車の通行の妨げになるのをよく見掛ける。

■学生に守ってほしいことは

2列で右側通行することを徹底し、周りを意識すること。例えば、車庫入れの車があれば立ち止まり、車を優先してもらいたい。最後に、友達と話しながら通学するときも、私たち警備員の指示に耳を傾けてほしい。