【7月号】難民移民対策を考える アッセンブリアワーで講演

 本学文学部英文学科が6月7日のアッセンブリアワーで難民移民政策をテーマに講演会を主催した。英文学科の津田ヨランダ・アルファロ教授(移民対策・ジェンダー)に招待された前在リトアニア共和国駐在日本国特命全権大使の重枝豊英(とよえい)さんが講師として登壇。杉原千畝の「命のビザ」の活動や外国人受け入れ政策などについて話した。

 重枝さんは杉原が1940年にユダヤ人を助けるために行った「命のビザ」の活動について「ユダヤ人にビザを発行することで杉原はクビになるかもしれなかった。しかし同じ外交官として、杉原は自分のことよりも『規則に反することで国や国民に逆らってしまうのではないか』と日本のことを心配していたのではないかと思う」と外交官としての解釈を踏まえて話した。そして「杉原千畝の最大の偉業は他者への思いやりだ」と付け加えた。

 リトアニアの杉原千畝記念館も紹介した。杉原千畝をたたえるために建てられ、日本とリトアニアの交流のシンボル。日本からの観光客の約7割が訪れ、最近ではイスラエルからの観光客も多い。講演では観光客や、日本から派遣されたボランティアが記念館の外壁を塗装する様子の写真などが披露された。

 重枝さんは最後に、日本の難民移民政策と課題について述べた。「少子高齢化の日本ではこれから先、外国人に支えてもらう時代が来るかもしれない。移民を受け入れるに当たって変わらなければならないのは、来た人ではなく受け入れる人だ。対話を重ねて違いを分かり合うことが大切。言葉は違っても同じ人間なのできっとできるはずだ」と語った。【山岡加奈】