ショセキカは基礎セミナー「本をつくる」から始まり、編集・装丁から広報・販売まで学生が全面的に関わっている。ショセキカに参加した保道晴奈さん(外語・2年)と山口裕生さん(法・2年)は大人との「商売」でのやり取りが大変だったと語る。「自分たちの完成品もプロに手直ししてもらうと全く違うものになる。商品を作る大変さが改めてわかった」。  しかしやりがいも大人とのやり取りの中にあるという。編集を繰り返し、少しずつ本が出来上がる喜びや大人の商談の場に自分も参加できるという経験はショセキカでなければ得られなかったものだ。 ショセキカは当初ここまで学生主導のものではなかった。「阪大の授業を外に発信したいという目的で始まったこの授業。学生には発信する授業に意見をもらうだけのはずだった」と語るのは中村征樹准教授。その中でもっと本格的に関わりたいという学生からの声があがった。「学生らしい弱さもあったが、学生しかできないやり方、発想だった。外からの評価を得にくい大学の中でいいインターンシップになっただろう」。  目標はベストセラー、ミリオンセラー、ロングセラーと笑う3人だが、出版後は読者たちが自分なりに「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」について考え、読者同士の会話につながればと話した。