大阪大人間科学研究科の中道正之教授(比較行動学)らの研究グループは、兵庫県の淡路島に生息するニホンザルが食料を得るために個体同士で協力することを実証した。研究成果は2019年8月19日に英学術誌「プリマーテス」のオンライン版で公開された。 

 研究は淡路島と岡山県真庭市の実験結果を比較する形で進められた。淡路島のニホンザル集団は協力して食料を得ることができたが、真庭市の勝山ニホンザル集団ではけんかが頻繁に起こりほとんど協力が見られなかった。グループは淡路島のニホンザル集団は勝山のニホンザル集団とは違って、資源を分け合い共有できる寛容さを持つことを明らかにし、協力することにも寛容さが強く関わっていることを示した。ニホンザルは食料を一部の有力な個体が独占してしまうので食料を得るために協力することもないと考えられてきたが、通説を覆す発見となった。 

 「単純な知能だけでなく、相手の意図をくみ取ることができるような頭の良さや、食料を分かち合う寛容さの有無が協力できるかどうかを決める」と話すのは、研究で中心的な役割を担った貝ヶ石(かいがいし)優さん(同研究科・博士後期)だ。貝ヶ石さんは研究の意義について「人間の協力社会の進化を考察する手がかりとなる」と語る。研究に使われた実験道具はひもを引っ張るだけの単純な仕組みで、さまざまな動物に使えるように作ったという。貝ヶ石さんは「親子や仲良しのサル同士といった個体間のつながりの強さが、協力のしやすさに関係があるかなども調べていきたい」と今後の展開を話した。【塩澤広大】