「生態園」の展示

 大阪大美術部2019年度夏部展「園(えん)~ここは現実か?~」が8月31日から9月7日まで阪大総合学術博物館で開かれ、176人が訪れた。13年から毎年春と夏に総合学術博物館で行われている。  

 今年のテーマ「園~ここは現実か?〜」は部員から意見を募って決めた。「園」は現実世界の縮図で、同時に、現実を超えた世界を見せる枠組みにもなる。解釈は部員が独自に考えた。「生態園」「肉体園」「脳内園」「夢現園」の四つの企画を設け、約50作品を展示した。部員が自由に制作した個人作品11点も紹介された。

 「生態園」では、紙粘土や木を用いた立体作品や水彩画で架空の動植物を表現。岩石を削り取って食べ、美しい結晶を作り出す「イワカブリネズミ」、二足歩行し木に擬態できる「エダモドキトカゲ」など制作者の想像力が光る作品が目立った。各生物に生息地や繁殖方法に関する紹介文も見どころの一つで、地中で生活する雑食の鳥類という設定の「モグラドリ」は「地上でも活動可能だが天敵が見えないため、存在を察知してパニックに陥っている間に捕食されてしまう」などと紹介された。

 来場者に自身の体と向き合ってもらうことを目指した「肉体園」、脳内世界を意識してもらう「脳内園」、架空の遊園地をイメージした「夢現園」にも個性豊かな作品が並んだ。 

 部長の小田怜佳さん(工・3年)は「部展全体に統一感を持たせることができるよう、テーマを決める段階から工夫した。作品を見た人が想像を膨らませ、脳内に虚構世界を作り出してもらえるような展示を目指した」とこだわりを語った。

 大阪市から訪れた60代の女性は「若者らしい自由な発想で面白かった」と話した。

【田中穂乃香、写真も】