日本学術会議第三部、近畿地区会議、大阪大は8月1日、大阪大学会館講堂で「AIと人がつくる未来社会」シンポジウムを開いた。高校生約170人を含む約340人が参加した。
阪大や東京大の研究者ら4人が将来のAI(人工知能)技術や、AIと人の関わり方について、それぞれの研究をもとに考えを述べた。総合討論では、阪大の八木康史副学長を加えた5人がAIの光と影を主なテーマとして話し合った。
マツコロイドの監修で有名な阪大大学院基礎工学研究科の石黒浩教授(工学)は、人と対話できるロボットの開発と人間の本質について講演した。ロボットと会話することが、感情や知能の本質について考えるきっかけとなり、人間が技術なしでは生きられないと気づかせてくれるという。将来は人間の脳や体が無機物に置き換えられる可能性があると説明した。「人間をとりまくロボットなどは少なくとも部分的には人間であるべき」と話し、人型ロボットにこだわる理由を明かした。
阪大大学院情報科学研究科の荒瀬由紀准教授(情報科学)は、AIとの対話に不可欠な、AIの自然言語処理について講演した。AIが文章を数字の列に変換することで、意味や文法の情報を取り出す技術を紹介し、言語能力の進歩を示した。一方で、比喩や皮肉を正しく理解することはほとんどできないという課題も指摘した。
参加者の中学生は「学校の案内を見て、石黒先生が登壇すると知り友人と来た。ためになる話だった。総合討論が特に面白かった」と話した。
日本学術会議主催の公開講演会やシンポジウムは、研究の成果を国民に還元するために全国各地で行われている。
【塩澤広大】