
平成30年度大阪大司馬遼太郎記念学術講演会が8日、大阪大学会館で開かれた。
大阪外事専門学校(現・大阪大外国語学部)出身の作家、司馬遼太郎氏の業績をしのび、その文学を継承するために毎年行われており、今年で21回目。地域住民ら265人が訪れた。
会では、城郭考古学者の千田嘉博・奈良大教授が「司馬文学とお城」をテーマに講演した。司馬氏の作品の多くは歴史小説で、たびたび城が登場する。千田教授は「燃えよ剣」に登場する五稜郭(北海道函館市)周辺の地理状況を説明し、欧州の中世城郭と比較しながら「城郭は時代とともに変化してきた。当時日本では最先端の構造だったものの地理的弱点を持っていた五稜郭は、新しい時代への移行とともに消える運命だった」と語った。
神戸市から訪れた男性は「司馬文学の中でも、今まで注目しなかったテーマについて知ることができた」と話した。
【田中穂乃香】