
大学の許可を得ずに学生が建てたこともあり、裏BOXは立ち退きの対象となった。雨漏りが頻発するなど、裏BOXの環境は決して良いとは言えないものだったが、学生団体の活動場所としての役割は果たしていた。明道館など既存の施設では活動場所が足りず、代わりの施設を確保する必要があった。
文化会が年1回発行している機関誌「座標」に、裏BOXとサークル棟増設に関する学生の運動が詳細に記されている。座標によると、1976年の秋に大学側が裏BOXを立ち退かせようとしたが、文化会をはじめとする学生団体がそれを阻止し、サークル棟の増設を大学側に求めた。
学生側と大学側の交渉は77年に始まり、10年以上協議が重ねられた。協議は代替サークル棟の使用時間や運営方法など多岐にわたり、3000人近い署名を集めて交渉に臨むこともあった。そして96年2月、裏BOXの代替施設として明道館の南側に仮設サークル棟が完成、3月から使用が始まった。
仮設棟は完成から20年以上経過した今も残る。しかし、裏BOXは仮設棟完成後1年以内に撤去されている。
【山本秀明】
◆明道館(めいどうかん) 豊中キャンパスにあるサークル棟。1964年に完成し、改修を重ねながら現在も使用されている。部室不足に悩む学生が大学に無許可で建てた「裏BOX」と呼ばれる小屋が南側にあった。
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