大阪大で昨年12月、学部3年と博士前期課程などの1年(M1)全員を対象に実施されたTOEFL-ITPテストを実際に受験した阪大生の人数が、対象者全体のうちの3割にも達していなかったことが関係者への取材から分かった。同テストは、語学教育の改善に役立てるための取り組みの一環として行われており、「全員に受けていただきたい」という前提でテストを実施した教育推進部教育企画課の職員らは、学生の参加率の低さに複雑な表情を浮かべた。

 同課によると、学部3年では、全体の3277人から免除者9人を除いたうち実際に受験したのが518人(受験率15.9%)。一方、M1は全体1915人のうち5人が免除され、767人が受験した(同40.2%)。両学年を合わせた全体の受験率は約25%だった。今年度中に同様のテストを受験し、そのスコアを提出した学生は受験を免除された。テストは12月5、6日(吹田キャンパス)と19、20日(豊中キャンパス)に分けて実施され、5、6日の出席状況が悪かったため、19、20日実施分への受験を追加で募集した。

 今回の結果について、同課の担当者は「一人でも多くの人に出席してほしいと思って実施しているので、この数字自体は寂しい」と語る。しかし、欠席者にペナルティを科すなどして強制的に受験させることはできないため、学生の自発的な参加を呼びかけるしかない部分もあったという。

 今回得られたデータが統計的に有効なものとして使用できるか、今後の分析結果を待って判断するとしている。来年度以降について、担当者は「継続するか否かは不明。ただ、やりたい希望はある」とした。

 大学はTOEFL-ITPテストを、グローバル社会で活躍できる英語力を身に付けるための取り組みの一つとして位置づけ、実施には運営費交付金が充てられている。これまで学部1、2年を対象にしたものが全学教育推進機構によって行われているが、学部3年以上を対象にした実施は今回が初めてだった。

 学部1、2年を対象にしたテストでは、外国語学部で単位認定の条件、それ以外の学部でも英語の授業成績の一部となるため、受験率は比較的高い。しかし外国語学部2年を対象に今年度実施されたテストは授業単位や成績に反映されるものでなかったため、出席する学生が半数を割る結果となった

▶︎「習熟度別授業」 2018年度導入か 担当者 明かす

 TOEFL-ITPテストのスコアを利用した習熟度別授業を、2018年度から阪大で全面的に導入する構想が進められていることが分かった。全学教育推進機構の語学教育担当者が、本紙取材の中で明らかにした。

 スコアに基づいた習熟度別授業は14年度から試験的に導入しており、18年度には、授業以外の語学学習時間を確保するためのPCを活用したeラーニング導入も検討している。カリキュラムの具体的な設計もすでに行ったという。

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