神経疾患治療に光—— 細胞変性の仕組み研究

 大学院脳科学研究科の山中智行准教授と信行教授らの研究チームは、細胞小器官の一つの「小胞体」の関連遺伝子「Grp78」の発現抑制が運動神経細胞の変性に影響を及ぼしていることを明らかにした。難病とされている運動神経疾患の治療法開発への発展が期待される。

 山中准教授らは、「NF-Y」に着目し、マウスで実験を行った。NF-YはDNAの遺伝情報を転写し、発現や抑制に関わるタンパク質だ。実験では「ノックアウト」という方法でマウスの遺伝子の一部を操作し、NF-Yの働きを阻害。その結果、Grp78の発現が抑制され、マウスの筋力が低下するなどの反応が見られた。運動神経疾患では小胞体の異常が報告されていたが、今回の結果からはGrp78の抑制が神経変性に関わっていることが新たに分かった。

 Grp78と運動神経細胞の関係性は、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、発症メカニズムが解明されていなかった難病の原因究明、治療法の開発に役立つと応用への研究が進んでいる。山中准教授は「難病を治すにはこれだけでは足りない。他の研究者らの研究も取り入れ、統合的な解析をする必要がある」と今後の展望を語った。【富山陽色】

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