秋学期が始まる10月1日から、今出川校地の各キャンパス内で自転車(乗車)通行を全面禁止にすると同志社大が発表した。学生の自転車運転マナーの悪さが目立ち、学内での接触事故も発生していることなどが理由に挙げられている。
転車通行が禁止となるのは、今出川・新町・室町・烏丸の四つのキャンパス。今までは警備員による呼び掛けや立て看板による注意喚起の下、最徐行(徐行よりさらに気を付けて速度を落として走行すること)で自転車に乗ることが認められていた。しかし春学期中、学生から「見通しの悪い場所で自転車と接触しそうになった」など、自転車問題に関する相談がたびたび学生支援課に寄せられていたこともあり、今回の施策に踏み切った。4月からは、自転車の運転マナー講習会の受講を必須にするといった学生の意識改善を図る取り組みも行われていたが「苦情は依然として寄せられている。マナーが良くなったという実感はまだない」と学生支援課は頭を悩ませる。
ある学生は「学内を歩いているときに自転車が危ないと感じることは多いので、自転車通行禁止は良いと思う」と話す。障がい学生のガイドヘルプをしている井上彩さん(社会・2年)は「視覚障がいがある学生の白杖(はくじょう)に自転車が接触しそうになったことがある。危ないので学内は通行禁止でいいと思う」と身近で感じた事故の危険性を語った。
一方で、福田麻美子さん(社会2年)は「歩いていて危険だと感じたことはない。運転マナーよりも駐輪マナーが気になっているので、駐輪指導を行ってほしい」と話す。2013年に文系学部が京田辺校地から移転したことに伴い、今出川校地では学生数とともに自転車を利用する人数も増加。大学は警備員と駐輪場を増やして対応したが、現在も空いた駐輪場を探して移動を続ける学生が後を絶たない。講義の開始時刻に間に合わせるため、急いで駐輪スペースを確保しようとすることが自転車の危険走行につながっている。
学生支援課は「基本的なルールやマナーを守ってほしい。自転車は車の一種だという認識を全員が持つべきだ。被害者や加害者になると、自分や相手の人生を狂わせてしまうことになる」と学生に強く呼び掛けた。 【富山陽色】