硬式野球部は首位の立命館大と勝ち点4で並ぶも、勝率で下回りリーグ戦を2位で終えた。優勝こそ逃したが、昨年まで4季連続で5位に低迷していたチームは打線に勢いがついた。悔しさを糧に、秋の王座を狙う。
◎熾烈な優勝争い
春季リーグの初陣となった第2節の関西大戦。同志社は連敗し、いきなり勝ち点を逃す。しかし、続く近畿大、京都大には4試合連続で零封勝ちを収め、勢いに乗る。
勝ち点2同士の対戦となった関西学院大戦では初戦を落としたものの、2回戦で打線が奮起。12安打で10点を奪い、勝敗を五分に戻した。勝ち点を懸けた山場の3回戦。6-2と4点ビハインドで迎えた七回、2点を返しなおも1死満塁で4番井手(スポ健・4年)が打席へ。1ボールから振り抜いた打球は右中間を破り、走者一掃の逆転二塁打となる。勢いは止まらず、この回一挙8点を奪い試合を決定づけた。
最終節の立命戦。同志社は、1敗した時点で優勝の可能性がなくなるという崖っぷち。しかし、失策から先制を許すと、その後も追加点を奪われ4–1で初戦を落とす。伝統の同立戦で立命に優勝の座を明け渡した。
◎「秋へのスタート」
翌日の2回戦。同志社は初戦の悔しさを爆発させる。先発全員安打の猛攻を見せ、21安打17得点。優勝した立命を相手に17-3と今季最多得点で大勝を収めた。最終戦でも打線の勢いは衰えず、12安打を放ち6点を奪取。王者立命から唯一勝ち点を奪い、リーグ戦を終えた。澁谷監督は「優勝の可能性がなくなった直後から、秋へ向けての試合と位置づけた。この勢いのまま秋は全勝する」と前向き。今季については「守備から試合を作り、先制して流れに乗る試合が多かった」。チーム失策数6は、リーグで一番少ない。投手陣も、左右のエース平尾奎(法・4年)と福島(法・2年)が試合を作り上げた。
近大戦と京大戦で2試合連続完封勝ちを収めた平尾奎は、「秋へ向けてここ一番のコントロールを身に付けたい」と語る。福島はリーグトップタイの5勝を挙げたが、今季は完投した試合がなかった。「まだ体力がない。もっと長い回を投げるだけの体力をつける」。両エースは秋へ向け、課題の克服を目指す。
◎チーム打率トップ
今季は打線の奮起が光った。チーム打率.324はリーグトップ。監督は「トップ10に5人も入っているように、多くの選手が打ってくれた」と評価する。
首位打者の井手は安打、打点でもリーグトップの数字を残した。リーグ2位の打率でベストナインを獲得した捕手の山岸(法・3年)は「打率は残せたが、優勝できずに終わり悔しい。秋は優勝に導けるキャッチャーを目指す」と力強い。他にもチームで唯一本塁打を放った平山(社会・3年)やリーグトップの出塁率を残した西田悠(社会・3年)、2季連続でベストナインの辻(商・2年)も打率トップ10にランクイン。主将の白水(スポ健・4年)も初のベストナインに輝き、選手はレベルの高さを実績で示した。
全国大会出場の経験がない4年生は、秋がラストチャンス。白水は「まだまだ伸びるチーム。負けたということは技術も心も全てが足りていない」。監督は「全国で勝つことがこのチームの使命」と熱く語った。春を終えた硬式野球部が、早くも秋の頂点の座を見据える。 【富山陽色】