【12月号掲載】アルツハイマー病 完治に光

◎開発までの経緯  完治が困難とされるアルツハイマー病。脳内に「アミロイドβ(以下Aβ)」と呼ばれるタンパク質が蓄積することにより発症するとされる。Aβは、「γセクレターゼ」という酵素がはさみのように作用して「C99」というタンパク質を切断することにより生成する。従来の実験では、はさみの作用をするγセクレターゼの活性化を抑えることで、アルツハイマー病の発症を抑えようとしていた。しかしこの酵素は身体に必要不可欠で、取り除くと発がんリスクが高まるなど危険性も高い。  そこで舟本准教授は「切られる側」のC99に着目。アルツハイマー病の元凶とされるAβの材料であるC99に、はさみであるγセクレターゼを近づかせないようにすることを考えた。過去の実験で、C99に結合したγセクレターゼを引きはがそうとしたが失敗。これをもとに、γセクレターゼをC99に結合しにくくさせる物質を探したところ、C99に結合しながらγセクレターゼを寄り付かせなくするペプチドが見つかった。このペプチドはC99にのみ結合し、γセクレターゼの他の作用を阻害しないことが、その後の実験により明らかになった。こうして、γセクレターゼの活性化を抑えずしてAβの生成のみを抑えるペプチド試薬が完成した。 ◎実験結果がもたらすもの  従来のアルツハイマー病は、治療薬があったものの根本的に治す薬はなく、投与しても1年程度で効き目が切れてしまう。しかし、実験の成功により、完治する薬を開発できる可能性が芽生えた。舟本准教授は「今回開発した試薬がそのまま治療薬になるわけではないが、これをもとに新しい薬を作っていきたい」と今後の実験に意気込みをみせる。試薬の開発を聞いた生命医科学部の女子学生は「『極めて現代的な疾患』とされているアルツハイマー病を治せる可能性を見つけたことは日本の宝だと思う」と喜びの声をあげた。

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