【1月号掲載】吉田寮 退寮求める 寮自治会は抗議
京都大は12月19日、「吉田寮生の安全確保についての基本方針」を策定し、吉田寮の新規入寮者受け入れ停止、入寮者の9月末までの退寮を求めることを決定した。寮自治会は反発している。
吉田寮の現棟と呼ばれる建物は1913年に建てられ、老巧化が進んでいる。耐震性を欠いており、大きな地震が起こったときには倒壊などの危険性がある。これまでも大学と寮自治会は老巧化について協議を続けていた。大学は建て替えを提案する一方で自治会は補修して維持することを主張。結局現棟はそのまま残されていた。
2015年から大学は自治会にたびたび新規入寮の受け入れ停止を要請。一方寮自治会は入寮者募集を続け寮生が増え続けた。現在寮生は新棟を含めた定員である241人を超えた272人が居住する。
今回は自治会に要請するのではなく大学として吉田寮への新規の入寮を一定期間認めないということとした。
大学は「吉田寮現棟に学生を居住させ続けることはもはや許されず、可能な限り早急に学生の安全確保を実現することは、学生に良好な修学環境を提供する責務を負う本学にとって最重要かつ喫緊の課題の一つである」として今回の処置に踏み切った。
基本方針では1月以降の新規入寮は認めず、9月末までに現在吉田寮に入寮している全学生は退寮しなければならないとする。現状では現棟と新棟に誰が住んでいるのか大学が把握できないため、15年に建てられた新棟に居住する人も含めた全員の退去を求める。
また、退寮の際、18年4月の時点で正規の学籍を持つ寮生に関しては希望者に大学がアパートなどの代替宿舎を用意し、現在の寄宿料400円で居住できるとしている。ただし光熱費などは学生個人の負担とする。
今後については吉田寮を廃寮にはせず、新棟に関しては基本方針の実施完了後に寮としての提供を再開。現棟についても収容定員を増やす方向での適切な処置を検討するとしている。
吉田寮自治会はウェブサイトに抗議声明を掲載。今回の「基本方針」の決定・通知は一方的で、これまでの大学と吉田寮自治会の話し合いの積み重ねを無視しているうえ、寮生に無用な混乱と不安を生じさせているとしている。
声明では、これまで現棟を補修する方向で議論していたことを無視しているとし、速やかな撤回と団体交渉の開催を要求している。