アンスティチュ・フランセ関西 90周年展覧会
展覧会の様子(撮影=田林航)
フランス政府公式の語学・文化センター「アンスティチュ・フランセ関西—京都」(左京区)の設立90周年記念展覧会が12日まで同施設で開かれた。同施設の過去を振り返る展覧会は初めて。京都大人文科学研究所が協力した。
アンスティチュ・フランセ関西は、フランス語教育と日仏文化交流を目的とするフランス政府の公式文化機関。
展覧会では前身の関西日仏学館時代からの活動を写真や文書を交えながらパネルで時系列順に紹介した。
日本で最初のフランス政府公式の語学学校として関西日仏学館が九条山(現山科区)に1927年設立。「フランスが来ている、諸君の前に」のキャッチフレーズの下、京大生も多く通い、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹も学んでいたという。
36年に京大近くの今の場所に新館を建設。新館開館後、学生数は3倍となった。隣に独逸文化研究所があり、当時の文書から対抗意識を持っていたことがうかがえる。
最大の危機にさらされたのは第2次世界大戦中。40年にフランスがドイツに降伏し、本国との通信が困難になった後も授業を続けた。45年には工場として接収され、一部関係者も投獄。多くの所蔵資料が焼かれた。終戦後、46年1月には授業を再開した。広報の長谷川さと子さんは「戦時中の活動についてもっと知ってもらいたかった」と語る。
来年は京都・パリ友情盟約締結60周年、日仏外交160周年の節目の年。長谷川さんは「日本とフランスの文化が出合う場所として機能したい」と意気込んだ。