【9・10月号掲載】京大 新会社設立 産官学連携さらに進める
京都大は8月29日、コンサルティングなどの事業を行う新会社「京大オリジナル」を設立すると発表した。文部科学省の指定国立大制度を受け、規制緩和が認められたことを生かし、財政基盤を強化する。
「京大オリジナル」は京大が100%出資する完全子会社。吉田キャンパスの国際科学イノベーション棟内に2018年をめどに設立する。
大学の研究成果などを社会に還元して研究・教育活動を活性化することを目的とし、国内外の企業などとのつながりの強化を図る。
新会社の主な事業は(1)社会人を対象とした研修・講習事業(2)企業に対し専門的知識を提供するなどのコンサルティング事業(3)産官学連携の相談窓口となったり、学内ファンドを運営したりする事業化支援事業――の三つ。戦略的な情報発信、収集を行い産官学連携につなげる。指定国立大に選ばれたことで、既存の国立大では法律で規制されていたコンサルティング事業などへの出資ができるようになった。
京大は現在、知的財産の管理などを行う「関西TLO」、京大の研究成果を生かしたベンチャーを支援する「京都大学イノベーションキャピタル」の二つの子会社を所有。将来的には三つの子会社を統括する持ち株会社を設立する予定だ。
京大は指定国立大申請時に、産官学連携の新しい形「京大モデル」を提唱。産官学連携本部が企画立案やマネジメントを担い、京大オリジナルを含む三つの子会社が実務・実行に携わるよう機能を分離する。有期雇用が中心の大学の人事制度にとらわれず優秀な人材を効果的に雇用できるほか、事業の収益を若手研究者の支援などに活用することで、研究成果や人材、資金の好循環を狙う。【田林航】