【3・4月号掲載】ガーナ救う?動物性栄養源 ネズミの近縁種 飼育化へ
野生動物研究センターの村山美穂教授(動物遺伝学)らを中心とするグループが、ガーナでグラスカッター(アフリカタケネズミ)の食用飼育化を進めている。ガーナではアフリカの他地域と比べ動物性タンパク質の摂取量が少なく、グラスカッターが新しい供給源として期待されている。「順調に繁殖が進めば、野生動物をむやみに狩猟することもなくなり、生態系の保護にもつながる」と村山教授は語る。
グラスカッターは、モルモットやヤマアラシに近い齧歯(げっし)類。体重は5〜8キロほどで、体長は40〜60センチほど。あっさりした豚肉のような味で、ガーナでは最も好まれる肉のひとつ。北部では狩猟で入手され飼育はしてこなかった。
ガーナ北部は気候条件が厳しく、豚や牛などの飼育に適さない。そこで暑さに強く多産なグラスカッターに着目。効率良く飼育するため、遺伝子解析により人に慣れやすい個体を選抜。さらに食べている植物を解明し飼料の改善につなげている。
村山教授らが今回の研究を始めたのは、共同で研究を進めているガーナ大のカヤン准教授との出会いがきっかけ。村山教授が岐阜大で助手をしていた際にカヤン准教授が留学生として来日し、一緒に研究を進めていた。その際、研究室の教授の自国に関わりの深い動物を研究すべきとの言葉から時を経て、ガーナの動物のグラスカッターを研究することになった。
今後は、動物のストレスを減らす飼育方法や現地に適した加工保存法を研究する予定という。【前山幸一】
※おことわり 3・4月号では、学生の学年を3月までの学年で表記しています。