【1月号掲載】ASDの小中学生 行動で「良い子」を判断

コミュニケーションなどに障害のある自閉スペクトラム症(ASD)の小中学生は、良い人か悪い人かを判断する際に、相手の性格よりも一時の行動を重視する傾向があることが分かった。京都大白眉センターの米田英嗣特定准教授や福井大などの共同研究で、11月29日の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」発表にされた。

研究では、小中学生39人(うちASDのある者19人)が、複数の短い物語を読んだ後に登場人物が「良い子」か「悪い子」かを判断した。物語は、結末と登場人物の特性、行動がそれぞれ異なっている。

結果、ASDの子どもは登場人物の持続的な特性「性格」よりも、物語の状況に依存した一時的な「行動」に着目し、悪い特性を持つ登場人物が示す一時的な良い行動を見て、「良い子」と判断していた。

ASDの人が悪意を理解しづらい原因として、他者の特性を踏まえて行動を評価することが苦手な可能性が示された。

米田准教授は「今回の結果は、ASDの人は悪意を検出することが苦手というネガティブな面と、評判や先入観に惑わされずに人物を客観的に判断できるというポジティブな面を持っている。今後はメカニズムを解明していく必要がある」と話す。       【稲村史織】

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