【9・10月号掲載】健康情報を研究活用
京都大環境安全保健機構は、健康や医療、介護に関わるデータ「Personal Health Record(PHR)」の活用の促進に向け、7月11日、オムロンや第一生命など複数の企業と共同研究を開始した。PHRを活用することで、健康管理の質向上や健康増進を目指す。
研究者、共同事業者、学生おのおのに利点がある仕組みの構築を目指す。研究者は研究データの確保、事業者は個人の健康情報を生かした顧客の確保や関連商品の販売、学生は生活習慣の改善を期待できる。
京大では毎年学生の健康診断が行われているが、学生が自分の診断結果を実際に健康増進に生かしているとは言い難い。来春から京大生を対象として、健康診断を受ける際に参加の意思を示した人に限り、健康情報をデータベース化する。学生のライフスタイル改善の一助となることを狙う。 研究代表者の石見拓教授は「大学生は情報技術に習熟しているため、データベース化された健康情報を活用しやすい」と語る。試験的に京大生でデータベース化した後、賛同を得られた一般の人にも範囲を広げていく予定だ。
石見教授は「将来的には国民全員が自分の健康に関する情報を知り、それを生活の中で活用する社会にしたい」と目標を掲げた。
【田林航】