【6・7月号掲載】プロボクサー小木曽友輔 鮮烈白星デビュー

ボクシング ネットアップ2

練習に励む小木曽(6月3日・ジム「フュチュール」で 撮影=富山陽色)

 

「左! 右! フック!」。トレーナーの力強い声が掛かると、「シュッシュッ! スパーン!」。快音が室内に響き渡る。京都大の現役プロボクサー、小木曽友輔(工・4年)は京都市中京区にあるジム「フュチュール」で練習に励む。

プレースタイルは接近戦に持ち込むインファイト。持ち味の体力を生かし、得意の右ストレートで相手を撃ち沈める。理想とするのは世界最速で2階級制覇を成し遂げたプロボクサー、井上尚弥のパンチ力だ。

高校まではサッカー部に所属し、大学ではラクロス部に入部する。しかし、右膝前十字靱帯(じんたい)を2度断裂し、手術。ラクロスの道は断念した。ボクシングに転向したきっかけは「大学からボクシングを始めてプロになっている友人がいる。結果を残せるスポーツがしたかった」。

2年の時にボクサーとしての門をたたき、昨年11月にはプロテストに見事合格した。フュチュールでは「諦めない気持ち」を学んだと話す。地道に努力する周りの選手から刺激を受け、練習を積み重ねた結果、プロへの登竜門をくぐった。

プロボクサーとしての初陣は4月16日。島津アリーナ京都(北区)で行われた4回戦(58㌔契約)で3−0の判定勝ちを収めた。白星デビューについて「ほっとした。多くの人が応援してくれていたので、勝ててうれしい」。

試合にはラクロス部のころに22の背番号を譲り受けた先輩と、今22番をつけている後輩が応援に駆け付けた。試合時、小木曽のボクシングトランクスには22の番号が。「ラクロスでは結果を残せなかったが、その時の番号を付けてボクシングで勝てて良かった」

また、京大生として勉強も怠らない。ゼミではダムの研究をし、「将来は世界で働きたい」と夢を描く。8月には大学院試験を控えているが、「勉強をおろそかにはしたくない。試験でも結果を出す」と意気込む。

座右の銘は、自らの欲望を抑えるという意味の「克己心」。小学生のころに所属していたサッカークラブの監督から贈られた言葉だ。

次なる目標は「新人王」。ボクシングを始めてわずか1年でプロへの世界へ足を踏み入れた男が、己に克ち、文武両道で闘い続ける。

【富山陽色】

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