【3・4月号掲載】コラム・知恵袋

 あなたは吉田キャンパスにいる。なんて素晴らしいんだ。ぜひ今から食堂に行って、白いご飯を味わってほしい。そのお米の産地はどこだろう。あなたは漠然と「国産」だろうと答えるかもしれない。ただ、少なくとも「メイド・イン・ヨシダ」ではなさそうだ。キャンパス内を見渡しても今は水田はない。

 昔ながらの田園風景に郷愁の念を抱いているわけではない。あなたの足元に眠る水田の話がしたいのだ。京大では吉田キャンパス南構内を中心に約2400年前の水田跡や土器が見つかっている。

 さまざまな形や文様を持つ土器。発掘調査を行ったのは、大学構内の埋蔵文化財の研究をする京都大文化財総合研究センター。見つかった水田跡は保存状態が良く、稲作が始まったころの姿を現代に伝えている。地域の歴史を解き明かす上で重要な資料。京都大博物館では発掘された水田跡や土器に関する特別展を4月17日まで開いている。

 展示会なんて興味がないかもしれない。だが、特別展はせっかくの機会。博物館に足を運ぶのも良いだろう。2400年の眠りから目覚めた土器が出迎えてくれる。わざわざ出向くのは面倒だというのなら、過去に思いをはせて食堂で白いご飯を食べるだけでも良い。いつもとは一味違った魅力的な京大に見えてくるに違いない。

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