編集部の選ぶ 京大2015 振り返り特集
【2月】15年折田先生像 中島くんを製作
毎年恒例となっている、前期入試前日から当日にかけての「折田先生像」製作。京都大の設立に関わった折田彦市氏の銅像が撤去されたため、いつしかキャラクターをモチーフとした像が作られるようになった。
2015年の折田先生像はアニメ「サザエさん」の登場キャラクター・中島くん。「磯野、野球しようぜ」と親友の磯野カツオを野球へ誘い出しそうな像は同年2月24日から25日にかけて作られた。
隣に設置された声明文には「折田彦市先生は、磯野カツオの親友としてお茶の間の一家団欒に尽力し、京大に野球しようぜの学風を築くために多大な功績を残した人です。どうか来週もまた見てください。サザエ」と記されていた。
【7月】吉田寮が声明文 入寮停止に反対
吉田寮の寮生募集を停止することを昨年7月28日、大学は吉田寮自治会に通知した。さらに翌日には自治会と事前協議をすることなく、同通知を大学公式ウェブサイトに掲載した。
これに対し、掲載された通知内容は入退寮選考権の侵害および学生に与えられた福利厚生の縮小だとし、自治会は大学に撤回を求め抗議。杉万俊夫前学生担当理事・副学長はこれを受け30日に理事会を開き、通知に関する提起を確約した。
だが通知は撤回されず、新たに「今回の要請は廃寮を前提としたものではない」「現棟の在り方については調査に基づいて今後自治会と検討する」という旨の文章が大学ウェブサイトに掲載された。
昨年8月4日に自治会は抗議声明文を公式ウェブサイト上で掲載し、山極壽一総長に公開質問状を送付した。17日付けで大学から、「現棟を居住者のいない状態にし、どのような耐震化が可能かなどを精査する必要があるため、入寮者募集の停止を要請した次第」といった回答があった。自治会はこれを不適切とし、2015年秋季も入寮募集を行うと発表した。
9月末には杉万前副学長が辞任。後任の川添信介副学長に団体交渉などを求める声明を出すも、以降大きな動きはないようだ。
【9月】ラクロス部渡米 1部復帰目指し
男子ラクロス部が昨年秋、クラウドファンディングで資金を集め、米国への遠征を行った。もともと1部リーグに所属し、日本一を目指してきた男子ラクロス部だが、2014年、15年のリーグ戦は出場停止処分に。2年間におよぶ出場停止期間中、本場米国のプレーを体感しようと遠征を企画。米国の学生チームとの練習試合や合同練習に取り組んだ。
日本学生ラクロス連盟の委員会活動に部員2人が一度ずつ無断で欠席したことが連盟の規約違反となり、14年と15年のリーグ戦への出場停止に加え3部リーグへの降格処分を受けた。モチベーションをなくし退部する部員もいる中、日本ラクロス協会から勧められたこともあり、海外遠征を行うことに決めた。
遠征の資金はクラウドファンディングで調達。目標金額50万円のところ59万円が集まり、米国への遠征が実現した。実際に米国で行った練習試合では、体格の違いなどから苦戦。ディフェンスに回る時間が多く、なかなかオフェンスが行えなかったが、攻守どちらの面でも得るものはあったという。
また米国遠征のほか、全日本選手権で連覇を続ける社会人チーム「FALCONS」との合同合宿なども昨年に企画した。
ことしから3部リーグでの再出発となる男子ラクロス部。1部リーグでプレーできるのは最短でも2年後だ。部員のモチベーション維持が今後の課題となりそうだが、1部リーグ復帰、そして悲願の日本一に挑んでいく。
【10月】ストライキ決行 講義への影響も
吉田キャンパス吉田南構内で昨年10月27日午前、京都大学全学自治会同学会中央執行委員会(同学会中執委)によるバリケードストライキがあった。大学に学生自治組織として非公認扱いされている同学会中執委が吉田南1号館の入り口を封鎖。バリケードには「10・27京大反戦スト 火曜3限13時〜授業休んで吉田南キャンパスへ!」「公安警察は立ち入り禁止」と書かれたものもあった。午後1時前後に学生らの手によってバリケードは撤去されたが、同館で予定されていた講義は教室変更や休講になるなど、学生・教職員に影響が出た。 ストライキに対し大学は翌28日、「学生の教育を受ける権利および教員の教育を行う権利と責任が侵害されるとともに、研究や事務業務の遅滞も発生しました」とし、「大学において教育研究を妨害する行為は絶対に容認できません」と公式ウェブサイトでコメント。同件を威力業務妨害罪に当たるとし、刑事告訴も含めた厳正な対処を検討していく姿勢だ。昨年11 月 14 日には警察による実況見分が行われた。
【11月】ミスコン中止へ 炎上が引き金か
京都大初開催と銘打たれていた京大ミス・ミスターコンテストの中止が昨年11月19日に発表された。Twitter上でのミスコン出場者への非難や京大生らによる公開質問状の送付などの騒動・議論が巻き起こっていた中での出来事だった。
同コンテストはウェブサイト上のみで開催され、昨年11月16日に投票の受付を開始し29日に投票終了を予定していた。中止の理由を公式ウェブサイトでは、候補者が安心し楽しんで企画に参加できなくなったこと、同コンテスト実行委員会が団体名に関して適切な名義の使用手続きを取っていなかったことと説明している。だが、背景にはミスコン出場者のTwitter上での炎上騒動があるとみられる。
ある男性ユーザーが16日、Twitterに「京大ミスコン、頼むから(エントリーナンバー)2番のクズ女には投票しないでくれ」と投稿した。いわく、寮の新入生歓迎会で投稿者は候補者の女性と鍋を食べたところ、彼女は一緒にいたイケメンには鍋をよそったが、投稿者に対しては顔を見て「君は無理」と言ったという。その後、これらのつぶやきは大量に拡散されていった。
騒動の直前には、京大生らがウェブサイト「京大ミス・ミスターコンテスト2015の問題点まとめ」を立ち上げている。コンテスト運営上の問題点を指摘し、また過去に京大で起きたファッションショーや仮装コンテストなどのミスコン企画に関する議論を無視しているのではといった懸念を示した。更には容姿による順位付けへの批判や、男らしさや女らしさなどの押し付けにつながるのでは、といった議論もウェブ上で展開。匿名による意見の集合として公開質問状をまとめ、17日に実行委へ送付した。
結果として同コンテストは中止となり、投票ページやTwitterは削除された。
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【12月】iPS山中教授 次期所長に再選
ノーベル医学生理学賞を2012年に受賞した山中伸弥教授(幹細胞生物学)がiPS細胞研究所(CiRA)次期所長に再選した。任期は16年4月1日から2年間。
昨年12月、CiRAは武田薬品工業とがんや糖尿病など、六つの疾患領域でiPS細胞技術の臨床応用を目指し共同研究を行うと発表した。昨年8月には、再生医療に使用可能なiPS細胞ストックの提供をスタートするなど、15年は大きな動きのある1年だった。
山中教授は昨年10月、研究活動への支援を募る「チャリティアンバサダー」として大阪マラソンに参加。「一番の趣味は走ること」と話し、ランナーとしての出場は2年ぶりで、4時間00分04秒でゴールした。