この大学はどっち?分野知図開発

荻野さん
 総合生存学館(思修館)の山口栄一教授は、大学がどの学問分野に軸足を置いているのかなどについて判別する手法を、データ処理・解析を行うターンストーンリサーチと共同で開発した。研究者に広く利用されている論文検索データベース、グーグル・スカラーを用いた方法で、大学の在り方を客観的に見ることのできる新たな方法として注目を浴びそうだ。
 研究チームは「化学」「経済学」「哲学」などといった39の学問分野を設定し、それぞれの関係性を39×39通り調べた上で「分野知図」を作成。関係性が深いほど分野間の距離は短くなる。横軸では理系(非意識)・文系(意識)、縦軸では生物・非生物分野と、学問の性質別に位置を分けた。
 次に、各大学ごとにどの分野の論文を多く出しているかを計測し、分野知図内での各大学の位置関係を調査。東京大や横浜国立大、東京理科大は工学系・理学系周辺に位置したのに対し、京大は「生命科学」「経済学」などの主要な10個のコア学問同士を結んだ枠内に位置した。「京大は東大に比べ、文系が比較的強い証拠」と山口教授は話す。
 大学だけではなく、ニコンや富士通といった民間企業や、公的な研究機関も解析することができる。「若者には学問のタコツボから出て、文系・理系共に近づきあってほしい」と山口教授。「知の越境をして、新しい学問の学び方を作ってほしい」と話した。

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