研究・社会を遊びで知る ゲーム通じ学び簡単に
京都大 物質 細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)のメンバーが中心となり、研究や日常を題材とした二つのボードゲームを開発した。
◆幹細胞研究やってみよう!
研究者の仕事や幹細胞の仕組みについて知ってもらおうと、すごろく型ボードゲーム『幹細胞研究やってみよう!』を制作した。
ゲームでは研究者に扮し、「プルリポテント君」と呼ばれるコマを成長させながら進行していく。「プルリポテント君」は受精卵に近い状態の幹細胞を表していて、ゲームが進むにつれさまざまな種類の細胞へと姿を変える。コマ自体にコスチュームをかぶせることで、特定の細胞への成長を表現。また盤上のマス目には、研究費の申請や高校への出張授業など研究者の日常も描き、楽しく遊びながら幹細胞について学ぶことができるという。
制作に携わったiCeMSの水町衣里さんは「すごろくを通じて少しでも研究に興味をもってもらえたら」と話す。
◆『TATEWARI』
『TATEWARI』は京大の研究者らが制作した立体型ボードゲーム。昨年11月に発売された。4人のプレーヤーが縦割り組織の中で互いに協力し合いながら、決められたクリア条件を達成していく協力型のゲームだ。各プレーヤーは、ゲーム開始時に「体育会系」「プレゼン上手」など個性のある役割を与えられ、その個性を生かしながらゲームを進める。
企画に携わったiCeMSは、さまざまな学問分野が融合して細胞研究を行う機関のため、互いの専門的な情報をうまく相手に伝えて交換していく必要がある。学問分野の違いを乗り越えるという目線から『TATEWARI』のコンセプトは生まれた。
制作に関わった水町さんは「縦割りが前提となっている今の世の中で、どのようにしたらみんなで協力して生きていけるのか。ゲームを通じて学んでほしい」と語る。会社の新人研修で使われることを目指し、今後は就活生や社会人もターゲットにしながら販売を続けていく。