世界大学ランク88位に
英国の教育専門誌『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)』が10月、「世界大学ランキング」を発表した。京都大は88位と、昨年の59位から大きく順位を落とした。昨年アジア首位の23位だった東京大はシンガポール国立大、さらに北京大に抜かれ43位へと転落した。
「世界大学ランキング」は「教育」「研究」「論文被引用数」「産業界からの収入」「国際性」で大学を総合的に評価。中でも「国際性」が重視されたという。京大だけでなく日本の大学は、英語や第二外国語などの外国語の授業や外国人教諭の数が、海外に比べ少ないと指摘されている。
昨年9月に文部科学省が採択したスーパーグローバル大学(SG大学)に、京大は世界ランキングトップ100を狙うトップ型として選ばれた。採択にあたり申請した、国際競争力向上を目指す「京都大学ジャパンゲートウェイ構想」に関する取り組みは始まったばかりだ。
◎国際広報で 京大の魅力発信
11月から本格始動した国際広報室。東京大や大阪大ではすでに大学の研究成果を世界に向け英語で広報する取り組みが始まっているが、京大は日本語での広報のみに留まっていた。SG大学に選ばれたことに加え、広報のグローバル化を求める声もあり、海外に向けた広報活動が本格的に行われることとなった。
日本国内では知名度の高い京大だが、海外ではあまり知られていないのが現状だ。海外からの留学生や研究者の獲得競争が高まっている現在、「京大の魅力を積極的にアピールし、大学の将来的なポジションを保ちたい」と話すのは室長の今羽右左(コンハウザ)デイヴィッド甫さんだ。
「研究者が大事だと思う点と大衆が面白いと思う点は違う」とも。日本は研究者自身が書いたプレスリリースを主に配信している。対して海外はプロの広報官がそのまま新聞に掲載可能な書き方で配信。海外との広報戦略の違いに対応するため、開室準備に1年を費やした。大学の公開する海外向けページは主に二つ。海外向けに書き直した研究成果一覧と、雑誌感覚で研究記事を読むことができる「Research@KU:Diverse&Dynamic」だ。京大公式サイトの言語を英語に変更すると閲覧できる。
国際広報室の設立には、SG大学採択による助成金も活用されている。「京大が国際的になり、(海外でも)知られるような大学になれば」と今羽右左さんは話した。