不便な商店街で地域活性化
京都大の不便益システム研究所と三条会商店街(中京区)が連携し、「不便益な商店街」づくりの企画を進めている。
【写真】三条会商店街の組合事務所前(提供写真)
「不便益を用いて、単発ではなく永続的に続く何かを企画したい」と、不便益システム研究所の川上浩司教授は話す。不便にすることにより、普段気が付かないことを発掘することができるという。
「(商店街の人が)会議をする際、あえて事務所に入りづらくし、外での会議を増やすという案が挙がった」と振り返る。「外で会議をすることにより、幅広い年代の人からの意見の取り入れや、流動性が高まるほか、コミュニケーションも増える」
ほかにも商店街を盛り上げるための企画案がたくさん挙がったそうだ。
不便益システム研究所は、便利すぎる物事をあえて不便にし、不便さがもたらす効用「不便益」を研究するグループ。過去に、目盛が素数のみで使用者が隠された数を見つけなければならない素数ものさしが大ヒットするなど「不便益」に関する注目度は高まっている。
今回の企画は、京大のデザイン学大学院連携プログラムの一環。副専攻科目のため、経営学や建築学、情報学などさまざまな分野に携わる7人の学生が参加した。学生たちは専攻の研究の合間を縫って集まったそうだ。3つのグループに分かれてアイデアを出し合っていると、ときには大きな笑い声が聞こえてくることも。「笑い声が聞こえてきたときには、こっちも何かおもしろい案を出してやろうという気になり、楽しくアイデアを出し合うことができた」と川上教授は笑みをこぼした。
不便益研究所は今後も予測不可能なアイデアで「不便益」を追求していく。