吉田寮 抗議声明文発表

 吉田寮自治会は9月10日、杉万(すぎまん)俊夫学生担当理事(副学長)に対し、抗議声明文を発表した。同声明文は、8月17日に発表された、京都大学当局による回答への声明文となる。
 自治会が発表した声明文には、吉田寮の入寮募集は通常通り行うことや、公開された場で団体交渉を行うことなどを求めるといった内容が盛り込まれている。
 大学当局は7月28日、吉田寮の寮生募集を停止することを自治会に通知し、さらに翌日、自治会と事前協議をすることなく、同通知を京大の公式ウェブサイトに掲載。現棟に住む寮生を速やかに減らすため、入寮募集を停止することを通知した。これに対し自治会側は、掲載された通知内容は、自治会による入寮選考権の侵害や、学生に与えられた福利厚生機能の縮小などに関して、大学当局と自治会の事前合意に違反するものとして、自治会は当局側に撤回を求め、抗議を行った。これを受け、杉万副学長は、30日に理事会を開き、通知の取り下げを提起することを確約した。しかし、通知は撤回されず、新たに「今回の要請は廃寮を前提としたものではない」「現棟の在り方については調査に基づいて今後自治会と検討する」という旨の文章が掲載された。
 自治会側の再度の抗議に対し、杉万副学長は今回の通知は決定事項ではなく、今後撤回を要求する自治会と引き続き団交を行うことを確約。8月4日には、自治会は今回の通知に対する抗議声明と、山極寿一総長への公開質問状を発表し、通知とウェブサイト掲載の撤回や、本件に関する団交の開催を要求した。杉万副学長は17日にこれに返答。その中で「通知の内容に問題はないこと」「廃寮を目的としたものではないこと」「代表者らによる数人での円卓会議を行う提案」「調査のため現棟の居住者に退去してもらう必要性」などが挙がった。
 吉田寮は、学生個人に対する不当な圧力を受けないよう、当局と自治会の団交による確約締結を定例としている。当局側と自治会との間では、当局が寮の運営について一方的な決定を行わないことや、希望すれば当局は団交に応じることなどの確約が結ばれている。しかし、自治会の数度の団交要請にも関わらず、7月30日以降当局側との団交は行われていない。
 大学当局は、今回の入寮募集停止の理由として、現棟の老朽化を問題にあげている。しかし、自治会はこれまで当局に対し大規模補修を要請。2005年には耐震調査と補強の設計に関する予算が決められたものの、06年には概算請求の学内選考で補修案は廃された。
 現棟の老朽化問題について自治会は、これまでの当局側の補修への取り組みに問題があったことを指摘。補修案として「京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例」に基づき寮の様態を維持しながら補修を行うことを主張している。

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