研究費横領発覚 飲み会代などに使用
京都大は1月27日、大学内で研究資金の不正使用があったと発表した。約430万円の資金が研究室の飲み会などの飲食費に流用していたとみられる。世界最高水準の研究拠点と銘打つ京大で起きた事件。大学は早急な対応に追われた。
資金を不正使用したとされるのは大学院情報学研究科の宗像豊哲(むなかた・とよのり)元教授ら。大学の発表によると、宗像元教授は2004年から06年にかけて、実際は出張していないのにもかかわらず手当を受け取る「カラ出張」などを学生に指示。大学から支給された謝金・出張旅費を現金で返納させ、一部を私的に利用していたという。宗像元教授は10年に退職。その後は五十嵐顕人(あきと)准教授が引き継ぎ、不正に受け取った金を管理していた。
事態発覚後、教職員985人、学生612人に対し調査が行われた。湊長博理事は「このような事態が発生したことは誠に遺憾であり、国民の皆様をはじめ関係機関の皆様に深くお詫び申し上げます。本学では競争的資金等の適正な管理を徹底し、不正な経理の根絶に向け、全学をあげて取り組んでまいります」とコメントし、謝罪した。
大学はカラ出張などを指示した2人を処分。宗像元教授は懲戒解雇相当とし、名誉教授の称号は取り消しに。また、五十嵐准教授には停職6カ月を下した。
不正発覚後、大学では不正防止の体制を改善しようとする動きがあった。「京都大学における研究活動上の不正行為の防止等に関する規程」の全てを3月1日付けで改正。規定では、教職員らの公正な研究活動を推進するとともに、研究活動上の不正行為が起こったまたはその恐れがある場合に、厳正かつ適切に対応するために必要な事項が定められている。
今回の不正使用は昨年3月の内部告発がきっかけで明らかとなった。同規定の11条では、「本学における研究活動上の不正行為に関する通報及び通報に関する相談(通報までに至らない段階の相談をいう。以下「通報等」という。)に対応するため、研究国際部研究推進課及び各部局に受付窓口を置く」と明記。なお、通報は原則として書面を受付窓口に提出、または送付することが条件となっている。
教職員だけでなく、学生も関わった今回の研究費不正使用。大学は再発防止に向け、よりいっそう警戒を強めていく。