【アメフト】関学大 2年ぶり学生王者 甲子園ボウル 最多29回目V

学生アメリカンフットボールの日本一を決める「第73回甲子園ボウル」が12月16日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で行われ、関学大(関西1位)が37—20で早大(関東)を下し、2年ぶり29回目の優勝を飾った。QB奥野(関学大・2年)が学生アメフトの年間最優秀選手(チャック・ミルズ杯)と甲子園ボウル最優秀選手に選ばれた。【武田寛明、谷健生、山本秀明】
多彩な攻め 早大を翻弄
関学大は序盤に奪ったリードを守り抜き、関西学生リーグ1位の実力を見せつけた。自身の持つ最多記録を更新する29回目の優勝を決め、ライスボウルへの切符を手にした。
第1Q、RB渡邊(3年)のロングランでエンドゾーンまで残り1㍎に迫ると、RB中村(4年)が相手ディフェンスを跳び越えTD。試合開始2分で先制する。早大も負けじと36㍎のロングパスを成功させ、TDを奪い返し同点に。
その後は関学大のペースだった。QB奥野がランで15㍎ボールを進めると、RB三宅(2年)もフィールド中央を突破。ゴール前までボールを進め、キッカー安藤(3年)のFGで着実に追加点を挙げた。第2Qも関学大の勢いは止まらない。ランとパスを巧みに織り交ぜ、FGと二つのTDで早大を突き放し、27—7で前半を折り返した。
20点を追う早大は第3Q、パントフォーメーションから攻撃を仕掛けるトリックプレーを展開。しかし、LB海﨑(2年)らリーグ戦平均5・1失点を誇る関学大ディフェンス陣に阻まれ、相手陣へ入るに留まった。
関学大はQB奥野の正確なパスなどでゴール前までボールを進め、TE對馬(つしま)(4年)がTD。さらに点差を広げた。早大も意地を見せ、WR遠藤(4年)への66㍎のTDパスで反撃に転じたが、点差を縮められない。
第4Qに入ると、早大にQB柴崎(3年)からWRブレナン(3年)へのパスを次々決められ、WR遠藤のTDで追い上げられたが、関学大が逃げ切った。
けが乗り越えMVP 関学大QB 奥野耕世(2年)

パスで相手を揺さぶり、持ち前の機動力を生かしたランで隙を突いて巧みに翻弄(ほんろう)する。関学大の若き司令塔が、2年生ながら関西学生リーグ最優秀選手(MVP)に続き甲子園ボウルMVPと学生アメフト年間MVPを受賞した。
甲子園でもパスがさえ渡っていた。第1Qでは3回の失敗があったものの、第2Q以降のパスはすべて成功。パスのみで149㍎獲得した。ただ、「上手なレシーバーに助けてもらっていた」とあくまで謙虚な姿勢だった。
正確なパスだけでなく、自らランで前進する場面も多かった。第1Q、体を回転させて逆サイドへ切り返し、相手ディフェンス陣を巧みにかわした。この試合49㍎をランで獲得。レシーバーが相手のマークを引き付けたことが成功の要因と冷静に分析した。
年間MVPを受賞し、「周りの4年生、3年生、2年生、1年生、コーチや監督、体のケアをしてくれたいろいろな方のおかげでもらえた。周りに感謝したい」と語った。
右腕にペンで書かれた「34」の文字は、けがでこの試合にほぼ出場できなかったRB山口(4年)の背番号。山口本人に書いてもらったといい、「山口さんにここまでずっと助けてもらった。試合に一緒に出る思いで(書いてもらった)」と話した。
「波瀾(はらん)万丈」な1年だったと振り返った2018年。春には自身もけがでプレーできない期間があった。「自分がしんどいとき、周りの人にお世話になった。次からは自分が上級生として下級生や同級生含め、もっと助け合える人になりたい」としっかり前を見据えていた。
「次は挑戦者として」ライスボウル見据え

試合後、主将を務めるQB光藤(4年)は、「早稲田は全員で(攻撃を)止める力が強かったが、(関学大の)オフェンスとディフェンスがかみ合った」と語った。2018年シーズンについても「自分たちのやりたいフットボールに集中できたし、純粋に楽しんで学生日本一を取れたと思う」と振り返った。
関学大のライスボウル出場は2年ぶりで、2年前に敗れた富士通との対戦。QB奥野は「(ライスボウルで対戦する社会人が)とても強い相手というのは分かっているが、できることを準備して、チャレンジャーとして思い切り向かっていきたい」と意気込んだ。
関学大・鳥内監督

(試合が)もつれると思っていたが、DLが頑張ってくれて有利な立場に立てた。しかし、チャンスをもらいながらFGを2発蹴った。ああいうところでTDしないと(いけない)。3点3点(の積み重ね)になってしまった。
パスを投げたかったのに投げられなかった。無理やり投げていたら前のゲーム(立命大との西日本代表校決定戦)のようにインターセプトの危険があった。
(2017年の甲子園ボウルは)僕自身に気の緩みがあり、選手の気持ちを引き締める事ができなかった。同じことが無いように絶対勝とうとやってきた。
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