【7月号掲載】連載 学生と政治・上
◼政治への関心、実際は?
2016年7月の参院選から18歳選挙権が導入され、2年がたった。17年10月には衆院選も行われたが、依然として若い世代の投票率は低いとされている。10代と20代をまたぐ学生は政治をどう思っているのか。UNN関西学生報道連盟ではアンケートを実施。関心度や投票への考え方を問い、学生と政治の距離について現状を探った。【堀江由香】
◼「関心がある」7割
アンケートは6月5日から30日まで受け付け、学生から計157件の回答を得た。
「政治にはどの程度関心がありますか」の問いで全体の65・6%が「とても関心がある」「やや関心がある」と答えた。具体的な事柄では「憲法改正」「働き方改革」がそれぞれ約4分の1を占める結果に。「外交・安全保障」の21・4%を含め、三つの事柄に関心が集まった一方で「森友・加計問題」は6・8%に留まった。
「投票には行きますか」の質問に対し「必ず行く」と答えた人は56・7%。「気が向けば行く」「行ったことはないが今後行きたい」を合わせると95・6%を占めた。理由として半数以上が「一票を投じることに意味があると思うから」と回答している。
政治に「関心がない」と答えた人の理由として「難しくてよく分からないから」が35・2%、「特に支持する政党がないから」が20・4%だった。「知らなくても困らないから」が16・7%と一定数占めたことから、政治参画意識の低さも見てとれる。
政治に関する情報源は「テレビ」「インターネット・SNS」がそれぞれ40%前後を占め「新聞」は17・2%となった。政治という硬いイメージの話題でもインターネットやSNSが優位に立っていることが分かる。
「若い世代が政治により関心を持つためにはどうすれば良いと思いますか」と記述形式で問うと、一定数が「分かりやすく説明してくれる場を設ける」「分かりやすい解説番組を作る」との趣旨で回答。その他「若い世代のための政策を打ち出す」「大学の授業で政治に関する議論を行う」などの意見が出た。
◼少人数授業で討論
関西大の一般教養科目「実践ジャーナリズム演習」では、読売テレビ解説委員の春川正明さんの下で、数十人の学生が国の重要問題について討論している。6月15日のテーマは「安倍政権の今」。安倍政権を全般的に支持するかしないかで二手に分かれ、両者が意見を述べた。
討論の中では、憲法9条の改正が話題に上がった。改正に賛成派の学生からは「日本は軍事力を持たなさすぎて危険」「他国と同じ立ち位置で話ができない」などの声が上がる一方、反対派の学生は「安倍政権が軍事力を持つと暴走してしまうのでは」といった懸念の声が浮上。9条改正の内容に関わらず、自衛隊は既に戦力だと主張した上で「憲法改正自体が目的化している」と指摘する学生もいた。
他にもアベノミクスや働き方改革の効果、選挙制度などに触れた。春川さんは「安倍政権の是非を問うときに、政権固有の問題だけではなく、選挙制度や政治システムも絡んでくる」と学生らに補足した。

◼政治を「見える化」
投票率や投票の質の向上を軸に、若者と政治の距離を縮めようと動く学生NPO「Mielka(ミエルカ)」は、「最終的に僕らが必要なくなればいい」と話す。
現在は立命大や同志社大などの学生16名が所属。サイトを作って選挙情報を可視化したり、公約比較や模擬投票などを通して政治を学べる授業を展開したりするなど、若者が政治を「じぶんごと」として捉えられるよう働き掛けている。
若者が政治家や議員と話せるさまざまな機会を設け、政治に関心を持ってもらうきっかけづくりもしている。「天気のように政治を話せる」ことが目標だという。
「今の若者は政治に関心がないのではなく、政治に関わることや投票に行くことへの関心が薄いのでは」。代表の溝谷美音さん(立命大・2年)は述べた。意思表示の方法がほとんど投票行為しかない現状を挙げ「ユースカウンシル(若者による議会)が日本に広まれば、若者が提言できる機会も増え、今よりも間口が広がるはず」と思いを語った。
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