日本の選手が冬季五輪史上、最も多くのメダルを獲得した平昌(ピョンチャン)五輪。京都外国語大生12人を含む日本の学生約100人が現地に派遣され、通訳ボランティアとして活躍した。【堀江由香】

通訳ボランティアとして活躍した学生ら(撮影=堀江由香)

国内七つの外国語大学で構成する全国外大連合が2016年6月、平昌五輪大会組織委員会と協定を締結し、プログラムが実現した。同連合のセミナーを受けて応募した約280人の中から、各大学が通訳ボランティアとして派遣する学生を選考。京都外大からは英米語学科や国際教養学科の学生12人が、平昌や旌善(チョンソン)、江陵(カンヌン)に送られた。
学生は英語担当と韓国語担当に分かれ、それぞれ割り当てられた場所でチケット確認や交通整理などの業務に当たった。英語担当の向井茜さん(3年)は「韓国語を話せないといけない状況に直面することもあり言葉の壁を感じた」と苦労を吐露。一方韓国語担当の児玉美咲さん(3年)は「1人でいると『おはよう』『よく寝られた?』と日本語で話しかけてくれ、韓国人の優しさに触れた」と振り返った。
ボランティアの学生は競技場内に配置されることもあり、生で五輪を体感できたという。中にはスノーボードのハーフパイプで銀メダルを獲得した平野歩夢選手を見た学生も。「競技中に転んだ選手を会場全体が励ましていた」「世界記録を出した選手を『コングラチュレーション』『おめでとう』といろいろな言語で称賛していた」など、国の垣根を越えた応援に感動したという声が多かった。
今回のプログラムは、滞在費や食費などは組織委が請け負ったものの、渡航費は自己負担。早朝から深夜にまで及ぶ業務もあったが、団長の李奈里さん(3年)は「もしお金をもらっていたら『やらなきゃ仕方ない』という気持ちで取り組んでしまったはず。学生の今だからこそ無償でやって良かったし、自分の財産にも社会経験にもなった」と主張した。

訪れた客のチケットを確認する李奈里さん(提供)