伏見稲荷大社(京都市伏見区)で2月7日に行われる神事「初午(はつうま)大祭」。本殿前で掲げる大型の縁起物「しるしの杉」を飾る大型のおたふく面を、京都造形芸術大の学生が制作し、12月27日に同大社に奉納した。
 初午大祭は、伏見稲荷大社がまつる稲荷大神(おおかみ)が2月の最初の午の日に稲荷山に鎮座したという故事に由来する祭りで、同大社にとって最も重要な祭典。昔から、参拝者がおたふく面で飾られた縁起物「しるしの杉」を授かる信仰がある。
 今回奉納された面は直径50㌢、厚さ20㌢で、普通のおたふく面の約10倍の大きさ。同大社が初午を広く知ってもらうため本殿前に高さ約5㍍のしるしの杉を掲げることを発案し、以前から交流のあった京都造芸大に制作を依頼した。
 大型のしるしの杉を掲げるのは今回が初めて。おたふく面を杉の枝に飾り付けるには軽く仕上げる必要があり、主な材料に発泡スチロールを使い、表面に樹脂を塗り重ねるなど工夫を凝らした。制作に携わった学生は「遠くから見ても存在感や重厚感が感じられるよう形作ることを心掛けた」と話す。
 伏見稲荷大社の関係者は「京都造芸大と連携したことで、大変良いものができた。おたふく面を多くの人に見てもらったり、SNSで共有してもらうことで、稲荷の神徳を広く認識してもらいたい」と話した。【秋田薫】

完成したおたふく面を持つ学生(左)と伏見稲荷大社の担当者(撮影=秋田薫)