【1月号掲載】イルカ・ペンギンの繁殖技術を研究へ
近畿大の生物理工学部は12月21日、バンドウイルカとオウサマペンギンの人工授精技術に関する共同研究を、和歌山県白浜町の動物公園「アドベンチャーワールド」と始めたと発表した。人工授精に成功すれば、バンドウイルカでは同園初、オウサマペンギンでは世界初となる。
アドベンチャーワールドは既に、飼育下で繁殖が困難なイルカやクジラ、ペンギンの精子を人工的に採取する方法を確立しており、受精の確率向上のため精子の運動能力を維持した保存方法を必要としていた。
遺伝子工学などを用いて動物生命学に特化した研究を行う近大と協力し、イルカ、ペンギンの精子の新たな保存液開発と凍結保存・解凍の技術を確立させ、人工授精による繁殖を目指す。
アドベンチャーワールドではバンドウイルカ26頭、オウサマペンギン93羽を飼育しているが(それぞれ2017年12月11、14日時点)、飼育中のオウサマペンギンは高齢化が進んでいる。
また野生のイルカを新たに飼育下に置くことを禁止する動きが国際的に広がり、日本でも飼育個体数維持のため人工的な繁殖を進めているが、人工授精による妊娠の成功例は全国で4例のみ。人工授精の成功率を上げる方法が模索されている。
動物園、水族館で野生動物を新たに飼育するのが困難になる中、種の保存や遺伝的多様性の維持を野生動物に影響を与えず進めるため人工授精技術の開発が必要とされるという。
近大とアドベンチャーワールドは17年3月に展示動物や希少動物の繁殖のために、研究などで連携する協定を締結。人工授精法の確立などで連携を進めるとしていた。【垣内勇哉】

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