【11・12月号】【野球】特集 ベイを射止めた!




今年も盛り上がりを見せたドラフト会議。プロ注目の立命大・東克樹投手はDeNAから1位指名を受けた。「プロは夢の舞台でした」と語る表情からは決意がにじみ出た。
会議13分前、会見場に姿を見せた東。中継音声が流れるイヤホンに何度も触れる様子からは緊張感が伝わってくる。ドラフトが始まると前に置かれたモニターを凝視する。指名開始から8球団目、DeNAに指名された瞬間にも大きく表情を変えることなく、ふっと一息だけついた。
唯一の単独指名。多くのフラッシュに包まれた。数分後のスカウトからの電話では初めて白い歯がこぼれた。それでも「期待が大きい分、しっかりと努力し続けなければいけない」と油断はない。
春のリーグ戦では関大打線を相手に無安打無得点試合を達成。昨春に続き2回目で、1投手が複数回達成するのはリーグ史上初の快挙。力の差を見せつけた。
会見4時間前には同志社大との最終戦にリリーフとして登板し、1回1/3を無失点に抑えた。「最後は東に投げてほしいとチームメートから声を掛けられた」と仲間からの信頼も厚い。メンバーからの胴上げでは、リラックスした表情になった。
「MAX152㌔のストレートが注目されているが、自分の持ち味はコントロール」と語るように今秋のリーグ戦では35回以上投げ、出した四死球は二つ。後藤監督も「格段に優れている点はストレートも変化球も低めに集められるところ」と太鼓判を押す。
身長170㌢、体重76㌔とプロの選手としては小柄な体形だが、持ち前の精密なコントロールを磨きプロの舞台でも活躍が期待される。 【湊卓也】
「40歳まで続ける」
DeNAの1位指名を受けた東克樹投手の話
「ドラフト会議が始まると、緊張感はだんだんと高まっていった。清宮、田嶋など注目選手が多かったので単独指名でプロに入れるとは思っていなかった。DeNAは左投手が多い印象があるので、先輩から学べる部分はたくさんあると考えている。プロ野球選手としての一つの目標は40歳まで野球を続けること。そのためには、けがをしない体づくりをしなければいけない。(プロでは)空振りを取れる球がないと苦しいと思うので、真っすぐやチェンジアップにさらに磨きをかけたい。どのような起用になるかは分からないが、先発起用だったら1年目から2桁勝利を目指す」
◆東 克樹(あずま・かつき) 立命大投手(文学部4年)。左投げ左打ち、170㌢76㌔。愛工大名電高で春夏計3回、甲子園に出場。関西学生リーグで史上初、2度の無安打無得点試合を達成。リーグ通算235奪三振。最速152㌔の直球と抜群の制球力を武器に大学日本代表でもエースとして活躍。
【解説】「即戦力」2桁勝利に期待
東を指名したDeNAは今年19年ぶりの日本シリーズ進出を果たし、今最も注目を集める球団の一つ。ドラフトでも今年チーム最多の11勝を挙げた今永、新人ながら2桁勝利の濵口に続き、3年連続で大学生左腕を1位で指名した。
小柄な体格から繰り出すストレートは威力十分。キレのあるスライダーやカットボール、打者の手元で鋭く落ちるチェンジアップ、打ち損じを誘うツーシーム、カウントを取るのにも有効なカーブと変化球も多彩。持ち前の制球力で投げ分ける。
DeNAの先発陣には緩急で打者を巧みに翻弄(ほんろう)する今永、速球派の濵口、右打者の内角への制球が生命線の石田がいる。リリーフ陣も田中健、砂田らそれぞれ持ち味の異なる左腕が多数そろう。立ち上がりの制球難という課題の克服も含め、さらに投球術を磨きたい。
今永や濵口は1年目から結果を残した。東に寄せられる期待も大きい。先発起用ならば、まずは1年目から先発ローテーションの一角を担い、2桁勝利を挙げることを目指したい。 【野球キャップ・山本穂波】
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