京大 シラカバでギター製作
京都大大学院農学研究科の村田功二講師と、同博士前期課程の前川遥樹さんら研究グループが、国産の木材、シラカバとダケカンバを用いてエレキギターを製作した。安定した資源量が見込めるため、現在楽器用木材(トーンウッド)として使われている希少な輸入材の代替品となることが期待できる。
同グループは、国産材3種と、トーンウッドとして広く利用される輸入材3種の音響特性を比較。シラカバ、ダケカンバが輸入材のハードメープルに近い特性を示すことを発見した。振動のしやすさや軽さからボディにはシラカバを使用し、強度が必要なネックにはより丈夫なダケカンバを用いた。シラカバ、ダケカンバは熱処理を加えることで、よりハードメープルに近い特性を示すことも分かったが、今回のギターは木材本来の特性を確認するため、熱処理を加えず製作したという。
完成したギターは、ハードメープルに近い音色を放った。見た目についても、美しい木目の中で、木の生長途中でできた傷が味となり、「メープルではできない見た目だ」と村田講師は絶賛した。
中心となって製作した前川さんは、日頃からギターをたしなみ、国産木材のトーンウッドとしての可能性について研究を進めてきた。研究の歴史が浅いエレキギターに着目し、約5カ月かけて製作した。「『西洋楽器には輸入材』といった固定観念にとらわれず、もっと日本の木材がトーンウッドとして使われるようになってほしい」と話した。今後はシラカバ、ダケカンバに加え、輸入材に似た音響特性を持つことが分かったセンダンの研究に力を入れたいという。
【堀江由香】
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