【9・10月号掲載】【アメフト】関西学生 秋シーズン開幕 連覇か、リベンジか

■立命館大 関学大 総合力が勝負を決す
アメリカンフットボールの関西学生リーグが8月25日に開幕した。1部の優勝候補は昨年のリーグ王者関学大と、2年ぶりの王座奪還を目指す立命大が有力だ。開幕戦では両チーム、快勝。しかしともに主力にけが人を抱え、陣容は盤石ではない。激戦のリーグを勝ち抜くためにも、チームの総合力が鍵を握る。
今年の関学大は鳥内監督が「視野が広くクレバーな選手」と評する新エースQB光藤(3年)など主力の多くが今年からスターターを務める。しかし、6月の神戸ボウルでは社会人の攻めに圧倒され、攻撃でも光藤のパスが不発に終わり経験不足をあらわにした。鳥内監督も「OLとRBが合っていない」と連携不足を指摘。連覇を果たすためにも若手の成長が必須だ。
一方、WRにはおととしから主力として活躍する松井(3年)、前田泰(4年)、亀山(4年)ら、リーグ屈指のレシーバーがそろう。さらにRBにも高松(4年)や山口(3年)など経験豊富な選手がいる。実績十分の選手らと光藤がかみ合えば、強力な攻撃陣になる。
同志社大との開幕戦では光藤が腰のけがで欠場。4TDを奪ったが、相手を圧倒するようなパス、ランは鳴りを潜めた。鳥内監督は「練習でできても、試合でできないようではまだまだ」とため息。試合を重ねるうちに、試合での勝負強さは身に付くか。

立命大はQB西山(4年)がスターター3年目。攻守のラインにも昨年の主力が多い充実した選手層を誇る。現在けがで離脱中のエースRB西村(4年)もシーズン中に復帰する予定だ。2年前、リーグ最終戦で関学大を破った快足が調子を取り戻せば王座奪還も現実味を帯びる。
RBでは1年生の立川が西村の穴を埋めるほどの活躍を見せている。第1節の桃学大戦では、「ミスもあったが、伸び伸びとプレーできた」と、175㌢92㌔の強靭(きょうじん)な体格を生かした力強い走りで3TDをマークするなど好調だ。WRも近江(4年)や廣吉(3年)らがロングパスを次々と捕らえ、勝利に貢献。ラン、パスともにヤードを稼げる盤石の体制だ。
気掛かりなのは守備。今年、1部昇格を果たした桃学大に14回もの第1ダウンを許し、TDも1度奪われた。経験のある選手が多くを占めるも、格下相手に守備のもろさを感じさせた。しかし米倉監督は「チームの現状がよく分かった。選手たちには伸びしろがあるし、やりがいがある状態」と前向き。チームの強化に自信をのぞかせた。
■京大 ラン機能で攻撃に厚み

第1節終了後、関学大の鳥内監督と立命大の米倉監督が共に語気を強めた。「今のままでは京大に勝てない」。リーグ開幕戦で6年ぶりに関大を撃破し、勢いに乗る京大。2強の牙城を崩し、20年以上遠ざかっている優勝を狙う。
躍進の要因はラン攻撃。もともと京大はQB田中(4年)の安定感があるパス主体で攻撃を組み立てていた。今年はパスに加え、OLの強さを生かしたランプレーの向上に着手した。関大との開幕戦でもRB入山(4年)らが思い切りのよい走りで幾度となく突破に成功。第3Q、入山がエンドライン手前まで走り込み、最後はWR山田(3年)がTDを決め、関大を突き放した。ランプレーでの獲得ヤードは関大の6倍以上になる194㍎。入山は「OLがよかったので、とにかく迷わず縦に行った。開幕戦の勝利は自分が入部してから初めてなのでうれしい」と喜びをかみ締めた。
守備陣も出色だった。西村監督は「主将のDL植村(4年)を中心に、よく頑張ってくれた」と称賛。ライン戦で優位に立ち、集まりの速い連携した守りで相手を自由に攻撃させなかった。関大WR長井(3年)にゴール寸前まで運ばれた場面も、DB角谷(3年)が体を張った守りで阻止。TDをわずか1回に抑え、勝利を呼び込んだ。
西村監督は「関大に勝利したことで選手たちに自信がついてくれればいい」と話す。入山は「春季で全勝した勢いそのままにいい流れできている。目標は関学大に勝つこと」と前を見据える。攻守に存在感を放つ京大がリーグをさらに白熱させる。 【新貝卓丸】
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