近畿大の養殖魚専門料理店「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」の大阪店(北区)と銀座店(東京都中央区)で、同大が養殖したマサバとマイワシを使ったディナー限定メニューが、8月1日から9月中旬まで提供されている。1日10食限定。
 提供するのは「近大産完全養殖マサバのお造り」と「近大産マイワシの唐揚げ」の2品で、それぞれ800円と600円(いずれも税抜き)。マサバは寄生虫や腐敗の早さから生食に向かないが、近大の完全養殖の技術と丁寧な管理によりお造りでの提供が可能に。たっぷりとのった脂を堪能できる。マイワシの唐揚げは濃厚な身と相性が良い梅肉ポン酢を合わせ、あっさりとした味わい。
 マサバの養殖研究は、同じサバ科のクロマグロの養殖研究に応用できればという考えから始まった。マサバは寄生虫や病気に弱く、さらに水温の変化に敏感だったため苦労したものの、現在では完全養殖に成功しているという。
 マイワシは、同大で養殖されているクロマグロの餌を自家生産することを目標に養殖研究を始めた。主に植物プランクトンを食べて育つため、養殖技術が発展すれば自然への負担を少なくできると期待される。今後は餌に使用する天然資源をより減らすことが課題だ。
 提供するのは、試験用や次の親にするためにとっておいた中で余った稚魚。数が少なく提供数が限定されているものの、消費者の声を聞くことによって、次の養殖研究に生きる改善点を見つけようとメニューを考え提供している。
(聞き手=川村仁乃)
vol.368