京大との2回戦で優勝を決め、田中監督を胴上げする近大勢(5月14日・阪神甲子園球場で 撮影=瀧本善斗)

 

 野球の関西学生春季リーグ戦は、近大が8季ぶり45回目の優勝を決めた。昨年は春秋とも5位に沈んでいたが、10勝1敗と5大学全てから勝ち点を奪う完全優勝。圧倒的な強さを見せた。

 田中監督は白星を挙げるたび「選手が粘り強く戦ってくれた」と口にした。リーグ戦11試合のうち4試合が逆転、5試合が1点差での勝利。接戦で投手陣が踏ん張り、終盤に打線が応える試合も多かった。小深田主将(4年)も「終盤に得点する、オープン戦での良い戦い方がリーグ戦でも実現できた」と振り返る。

 初戦の相手は昨春の王者、立命大。相手エース東(4年)に抑えられ、苦しい試合となる。しかし二回に中家(3年)のソロ本塁打で先制すると、小寺(3年)と横山(3年)の完封リレーで1点を守り切った。3戦目までもつれ込むも、勝ち点を獲得。「1、2戦目では打線が淡白だった。『3戦目は力を抜いて普段通りやろう』と励ました」。指揮官の一言が選手たちの気持ちをほぐした。

 「運も実力のうち」。今季は打ち上げた打球がサヨナラの内野適時打になったり、延長12回裏に押し出し死球を受け、サヨナラ勝利が決まったりする幸運も。勢いは一気に増したが、監督と選手らは「優勝は意識せず、一戦一戦勝ちにいくだけ」と口をそろえた。

 エース岡田(4年)の存在も頼もしかった。第2節以降で2戦目の先発を任され、4勝を挙げた。優勝が懸かった5月14日の京大戦では、自身リーグ戦初の完封勝利で優勝に花を添える。防御率0・26で、リーグ表彰を3タイトル獲得。「最高でした。自分たちの代で優勝できたことが一番うれしい」と頬を緩めた。今季のチームについて「負けないイメージがあった。昨年と比べてベンチの雰囲気がかなり良く、投げやすい」と胸を張った。

 打撃投手やブルペン捕手を務めた学生コーチの支えも欠かせない。3割8分1厘の打率を残した竹村(2年)は、「試合で打てず落ち込んでいると、前向きな言葉を掛けてくれる。全力で支えてくれるので、やる気が出る」。全員の力で優勝をつかんだ。

【山本穂波】

 

◆ベストナインに岡田ら
今季の関西学生リーグのベストナインに、近大の岡田投手(4年)らが選ばれた。岡田は最優秀投手、最優秀選手も受賞。▽他は次の通り。▽捕手=栃尾(立命大・3年)▽一塁手=倉川(関大・2年)▽二塁手=小深田(近大・4年)▽三塁手=大倉(関学大・4年)▽遊撃手=大谷(立命大・4年)▽外野手=前田(同志社大・3年)、太田(関大・3年)、竹村(近大・2年)。小深田は2回目、大倉は2016年春に二塁手として受賞したが三塁手としては初。他の選手は初受賞。