【7月号掲載】性的少数者配慮に指針 多様な性の尊重啓発
大阪府立大は4月、性的マイノリティー(少数者)への差別や偏見のない大学を目指し、独自の指針を策定した。全ての学生が快適に安心して過ごせる環境を整える狙い。多様性を尊重する動きは全国の大学で広まりつつある。
指針では▽学生の個別の意思や選択を尊重する▽学生本人を交えて十分に話し合い、実現のあり方を考える▽性的少数派の多様性への理解促進のため啓発活動をする――など、理念の実現に向け七つの方針を定めた。
今回の指針では言葉にも工夫が施された。人に焦点を当てた「LGBT」ではなく、国際連合の部局などでよく使われる「SOGI」という言葉を使っている。「LGBT」が表す四つのカテゴリーに、必ずしも全ての人が当てはまるとは限らないためだ。SOはセクシュアルオリエンテーション(性的指向)、GIはジェンダーアイデンティティー(性自認)の略。
同大では昨年、教職員らでつくる学生委員会に専門部会を設置し指針作りを始めた。性的少数者に関する実際の事例や対応を体系化している大学が少ない中で、国際基督教大(ICU)の取り組みを参考にしたという。
指針の策定をきっかけに、学生課では学生センターに専門の相談窓口を設置。学生と協力して啓発活動に取り組んでいく。
学生側も指針の策定を受けて新たに団体を立ち上げ、今年5月の大学祭では企業の性的少数者の事情をテーマに学生課と企画展を開いた。
他大では、多様な学生を受け入れることを目指した取り組みとして、今年3月に筑波大が同様の指針を定めた。また4月には、早稲田大が性的少数者の学生を支援する組織を設けている。
【山中秀祐】
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