大阪工業大は13日、ロボティクス&デザイン工学部開設記念シンポジウムを梅田キャンパス(OIT梅田タワー)で開いた。ゲストには吉村洋文大阪市長、パナソニック代表取締役専務の宮部義幸氏と同学部の松井謙二教授ら。人工知能(AI)やビッグデータといった最先端技術が求められる現代社会で活躍できる人材を育てる必要性を語った。

 同学部ではデザイン思考を用いた授業が行われている。デザイン思考とは、消費者の目線から課題を探り、商品やサービスを開発する考え方のことで、グーグルなど世界有数の情報技術分野の企業が採用している。学生はデザイン思考を取り入れ、企業からの製品開発の課題に取り組む。

 松井教授は他学部と授業や教授に質問しやすい環境づくりなど、学生に多様な考え方を教える試みを紹介。授業内で出た学生らのアイデアに感銘を受けたことを挙げ、「学生は私たちが考えているよりもはるかに多様で面白い考えを持っている」と指摘。「学生らの考えをつぶさないようにすることが必要」と語った。

 吉村市長は大工大が取り組むデザイン思考に基づいた介護ロボットに大きな関心を寄せ、「社会の問題解決を主眼に置いた研究をより進めてほしい」と話した。

 「今、時代を支えている技術は単なるインターネットではなく、あらゆる機器がインターネットにつながるモノのインターネットに移り変わってきている」と宮部氏は説明した。「今までの日本は機械の部品などに精通していたが、現在はAIやビッグデータを使ったシステムの構築に重点を置くべきだ」と話した。

(聞き手=菅野史織)

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