大阪芸術大の学生が卒業制作で考案した家具を、富山県小矢部市の家具メーカー・泉洋化工が来春商品化する。本の収納場所に加え、サイドテーブルや椅子を備えた箱形の家具で、肘を突いたり飲み物を飲んだりしながら読書ができる。同大の産学連携プロジェクトの一環。生活に読書を取り入れやすくしストレスの軽減を狙う。
 開発には4人の学生が参加し、それぞれ作品をデザインした。夏には試作品を作り、竹内悠生さん(デザイン学科・4年)の作品の商品化が決まった。同社が提案した「主婦のストレスを軽減する収納家具」というテーマに基づき「6分間の読書でストレスの63%が解消される」という英国の研究発表に注目した。
 プロジェクトのきっかけは、おととしの「住空間の見本市」。同大のブースに泉洋化工が目を付け、昨年2月から共同開発を始めた。市場調査のため家具量販店に足を運んだり、主婦に意見を聞いたりもした。
 本の収納スペースにもこだわる。「本が増えれば増えるほど本棚が雑然とする状態をなくしたい」という思いから、引き出しを作り、収納スペースを確保した。しかし調査からはお気に入りの本は目につく場所に置きたいという意見も。本棚の「見せる収納」と引き出しの「隠す収納」を組み合わせて解決した。
 竹内さんにとって、自身がデザインした作品の商品化は初めて。「4年間の学びを生かし、良い体験ができた」と笑顔が弾けた。

【おことわり】
3・4月号では学生の学年を、3月までの学年で表記しています。